いまの支出をMUST(必須)とWANT(願望)に分けてみよう
――川上さんはズバリ、家計にゆとりが生まれるようにするには、個人でできることでは何が大切と思いますか。また、手取りアップのために政治に何を一番期待しますか。
川上敬太郎さん 家計にゆとりができるようにするには、収入を増やすのが最も確実な方法ですが、そう簡単に増やせるものでもありません。家計のゆとりというより、生活のやりくりがかなりひっ迫している状況を踏まえると、政府に期待されるのは各家庭で生活に使えるお金を増やすための施策です。
過度な物価高を抑えるとともに「103万円の壁」を見直して実質所得の目減りを防ぐなど、手取りを増やす取り組みの重要性は増していると感じます。
一方で、各ご家庭でできる確実な施策としては支出を減らす節約だと思いますが、「もう削れるところなんてない」という悲鳴にも似た声も耳にします。その上で、敢えて家計を見直す余地があるのかどうかを確認するとしたら、いまの支出をMUST(必須)とWANT(願望)に分けてみることかもしれません。
――MUSTとWANTとはどういうことですか。
川上敬太郎さん それ以上削りようがないMUST支出に対し、WANT支出と言えるものがどれくらいあるのか。身の丈感は人それぞれ異なりますし、WANT支出は贅沢だからとすべてやめると、心の豊かさまで削られてしまうことになりかねません。
そのため、決してWANT支出をゼロにすることを勧めるわけではありませんが、何がWANT支出に該当するかを把握しておけば、工夫や改善の余地が潜む場所を見いだしやすくなると思います。
――WANT支出をリストアップするといいかもしれませんね。今回の調査で、特に強調しておきたいことがありますか。
川上敬太郎さん この3年の変化を見ると、家計のゆとりは厳しくなっていますが、最低賃金やベースアップといった賃上げ施策も進められています。実質賃金も少しずつ上昇傾向です。決して未来が暗いばかりとは限りません。
ただ、世帯年収が比較的多い層もゆとりを感じづらくなっている状況を踏まえると、家計の厳しさはギリギリまできており、多くのご家庭がやりくりに疲弊しています。一日も早く、実質賃金が安定的に継続して上回る状態が実現することを願います。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)