DEIそのものが「逆差別」との批判も

競技では、ボクシング女子66キロ級に出場したアルジェリアの選手をめぐり「性別騒動」が起きた。前年の世界選手権で性別適格検査に不合格となったが、五輪は女性として出場が認められた。この選手は金メダルを手にしたが、試合のなかで相手選手が棄権したり、ネット上で「トランスジェンダーだ」と誤解されたりして、激しくバッシングされたりした。

人種や性別、年齢、宗教、性自認、文化、障害の有無といったさまざまな違いをお互いが尊重し、社会で共存していく――。とても重要ではあるが、一方で多様性実現のための施策を推し進めた結果、米国ではDEIそのものが「逆差別」との批判を浴び、一部保守系活動家らがDEIを掲げる企業の商品ボイコットを訴えてきた(朝日新聞デジタル25年1月11日付)。

米国の有力企業での「揺り戻し」が今後、日本や世界にどう影響していくだろうか。