産前産後、育児休業中の扶養、税金や社会保険料はどうなる? 


税金
【画像出典元】「M.Aka/Shutterstock.com」

一般的に産前産後の休業や育児休業を取得すると収入が減少するため、配偶者の扶養に入るケースがよく見られます。ただし、社会保険と税法の取り扱いについて具体的には以下のようになります。

1.社会保険上の扶養の取り扱い

産前産後の休業期間や育児休業中は、社会保険料が免除されます。産前産後休暇を取ることが決まったら、事業主に申し出ましょう。事業主が「産前産後休業取得者申出書」や「育児休業等取得者申出書」を年金事務所に提出することで、健康保険料および厚生年金保険料の支払いが免除されます。

この仕組みによって休業中の保険料負担が免除されるため、社会保険上の扶養に入れるのかどうか特に心配する必要はありません。

2.税法上の扶養

税法上の扶養では、所得税と住民税が影響します。まず所得税ですが、休業する本人の1月1日から12月31日までの給与所得が103万円を超える場合に発生します。

扶養に入る条件としては、給与所得が103万円以下、または給与所得がなければ所得が48万円以下であることです。

育児休業期間中に受給する「育児休業給付金」は非課税となるため、これが税制上の扶養判定に影響を与えることはありません。

そのため、夫が年末調整時に扶養控除の申告書を提出し、配偶者の収入が育児休業給付金以外にないことを申告すれば問題ありません。これにより、夫の所得税や住民税が軽減される可能性があります。

3.住民税の納税について

住民税は前年の所得に基づいて課税されます。そのため、産前産後の休暇や育児休業中に給与の代わりに育児休業給付金を受給していたとしても、前年の所得に応じた住民税の納税義務は発生します。この点には注意が必要です。

具体的には、休業前の給与所得がある場合、その分の所得に基づいて住民税が課税されます。休業中の収入が減少することで生活費に影響を及ぼす可能性がある場合は、住民税の支払い計画を事前に確認しておくことが重要です。またどうしても支払いが困難なようであれば、そのままにせず早めに自治体に相談するようにしてください。

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まとめ

「産前産後の休暇や育児休業中の妻が夫の扶養に入る」という話を耳にすることがあります。実際、休業期間中は社会保険料の負担が免除されるため、気にすべきは税法上の扶養だけです。育児休業給付金は非課税扱いのため、扶養控除の適用に影響を及ぼしません。その結果、夫の所得税や住民税が軽減されることが期待できるでしょう。

なお、実際の手続きは本人または配偶者の勤務先を通じて行いますので、忘れないようにしましょう。特に年末調整時の扶養控除申告書に記載漏れがないよう注意してください。