薬膳の知恵できれいに。今回は胃や消化器系を整えていつでも栄養を吸収できるようにからだを準備するレシピをご紹介。レシピは、長芋と鶏肉のスープです。




新年を迎え、気持ちも新たに意欲に満ちあふれている1月。…のはずですが、今月は、年末の疲れを癒せずに持ち越してお正月になり、そのうえ暴飲暴食をしてしまい、からだがだるい、胃が重たい、すっきりしないなどの不調を感じている方も多いのではないでしょうか。

そもそも冬は腎のケアが必要な季節。腎は人間の生命力を司る大切な臓器です。腎が衰えるとどうなるか? 加齢が進み、骨が折れやすくなり、髪の毛が抜けたり、シワが増えたり、疲れやすくなったりといった老化症状が現れたり、進んだりします。

腎のケアに有効な食べ物は黒い食材ですが、ただ食べればよいわけではありません。口から摂取した食べ物の栄養分をきちんと吸収するには、吸収できるからだであることが必要です。栄養を吸収できず、有効活用できなかったら元も子もないですからね。

そこでまずは、「」(=胃、消化器系)を整えてから、いつでも栄養を吸収できるようにからだを準備することが大切です。

おすすめ食材は山芋(長芋)。漢方薬では山薬(さんやく)と呼ばれます。胃腸を丈夫にして、体力をつける生薬です。さらに腎の機能、肺の機能を高める働きもある万能食材。科学的な観点からもエストロゲンやテストステロンの原料になるDHEAと似た構造をしている「ジオスゲニン」という物質を含み、加齢に伴って低下する機能を補ってくれる効果があります。

今月は長芋をたっぷり使ったシンプルなスープをご紹介します。

今月のレシピ
長芋と鶏肉のスープ


<材料>(2人分)
長芋……200g
鶏ささみ……2本
水……500ml
長ねぎ……適量
生姜……適量
塩……適量
ねぎの青い部分……少々

作り方
❶鍋に水、鶏ささみ、ねぎの青い部分を入れて中火にかける。沸騰したら弱火にし、アクをすくいながら10分加熱する。

❷長芋はすりおろす。長ねぎは小口切り、生姜は千切りにする。

❸❶のねぎ、鶏ささみを取り出し、鶏ささみをほぐす。

❹鍋に長芋を入れて中火にかけ、温まったら塩で味を調える。

❺器に盛り付け、ほぐした鶏肉、ねぎ、生姜をのせる。

鶏肉は、からだをあたため、気、血、精を補う効果があるので、疲労感を感じている時とても有効です。茹で汁をそのままスープとして使えば、無駄も出ません。

また、ねぎ、生姜を一緒に取ることで風邪の予防にもなります。特にねぎは生で食べる方が薬効が高いのでおすすめです。



橋本加名子(はしもと かなこ)

料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1


文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC

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