季節の変わり目になると体調が崩れる……そんな経験はありませんか?
寒さがピークを迎えていますが、ここからは冬から春への季節の変わり目である「冬の土用」。
疲れやだるさ、胃腸の不調など、季節の変わり目特有の不調が起こりやすくなります。
こうした不調を防いで春を健康的に迎えるためにも、東洋医学で季節の変化に上手に対応していきましょう。

土用は夏だけじゃない?1月17日からは「冬の土用」


↑ 土用とは立春、立夏、立秋、立冬前の季節の変わり目となる期間。夏だけではなく年4回訪れます。

1月20日からは二十四節気の「大寒(だいかん)」。冬の最後の節気で、1年で最も寒い季節となります。
そしてその3日前の1月17日から2月2日の節分までは「冬の土用」になります。

土用というと「土用の丑の日にうなぎを食べると夏バテしない」という言葉が有名ですよね。これは今年の大河ドラマ『べらぼう』にも登場する平賀源内が、うなぎ屋のために考案したキャッチコピーだという説があります。この言葉のイメージが強いために土用といえば夏と思われがちなのですが、本来土用とは立春、立夏、立秋、立冬前の季節の変わり目となる期間をさしています。

◉土用とは立春、立夏、立秋、立冬前の約18日間のこと
・冬の土用(冬土用)=立春前(1月17日~2月2日)⋯⋯冬から春の変わり目
・春の土用(春土用)=立夏前(4月17日~5月4日)⋯⋯春から夏の変わり目
・夏の土用(夏土用)=立秋前(7月19日~8月6日)⋯⋯夏から秋の変わり目
・秋の土用(秋土用)=立冬前(10月20日~11月6日)⋯⋯秋から冬の変わり目
※( )内の日付は2025年のもの

一般的によく知られているのは夏の土用になりますが、それ以外にもこのように土用は年4回訪れるわけです。

そしてこのたびやってくる冬の土用とは、冬から春への変わり目となる季節のこと。「この底冷えする寒さの真っ只中に春が来る?」なんて思われるかもしれませんね。
季節の移ろいとは、まず光が変化し、そのあとから気温が変化するというように、少しずつグラデーションして変わってゆくもの。冬至(昨年12月21日)以降、日脚はどんどん伸びてだんだんと春の光に近づいており、そろそろ梅の花が咲いたりふきのとうが顔を出したりと、春のきざしが垣間見える季節になりつつあるのです。
こよみとは、こうしたかすかな“季節のきざし”をいち早く知らせてくれるものでもあるんですね。

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土用の時期は「脾(ひ)」が各臓器を養っている


↑ 体の生理機能を5つに分けた五臓(肝・心・脾・肺・腎)のうち、土用は脾の働きがさかんに。

季節の変わり目である土用の時期は、東洋医学でいう「脾(ひ)」の活動が旺盛になります。脾とは胃腸機能を中心とする臓で、主に次のような働きをになっています。

◉脾の主な働き
・飲食物を消化吸収して栄養、エネルギー、血液、体液を作り出す
・作り出した栄養、エネルギー、血液、体液を各臓器まで運んで養う
・水分のめぐりをよくする

東洋医学には体の生理機能を5つに分けた五臓(肝・心・脾・肺・腎)という考え方があり、春は肝が、夏は心が、秋は肺が、冬は腎がさかんに働くという特徴があります。しかし季節の変わり目になると、こうした各臓の働きが不安定になりやすいという傾向も。そこで季節の変わり目である土用の時期に、各臓に栄養などを送ってサポートをするのが脾の役割。脾によってその季節によく働いた臓の疲労が回復し、次の季節に働く臓へ栄養が補給されているのです。冬の土用の場合は、冬によく働いた腎の疲労を回復し、春に働く肝へ栄養を補給しているということになりますね。