タレントの中居正広さん(52)が起こした女性トラブルについて、フジテレビの社員が関与した疑惑が報じられ、それを巡る監督官庁、総務省の対応が注目されている。
同省の地上放送課は、放送・電波法上は指導する立場にないとしながらも、「社長が緊急の記者会見をするということですから、フジテレビは、適切に判断・対応してもらえればと考えています」と取材に話した。
フジテレビ社長の会見「自主的な判断で口出ししていない」
中居さんのトラブルでは、フジテレビの社員が女性との食事会をセッティングしたと週刊文春が報じたが、同局は2024年12月27日、「当該社員は会の設定を含め一切関与しておりません。会の存在自体も認識しておらず、当日、突然欠席した事実もございません」とのコメントを発表し、25年1月16日夕現在も、企業サイトのトップに載せている。
中居さんも、個人事務所サイトで9日、「このトラブルについては、当事者以外の者の関与といった事実はございません」と発表し、フジテレビ社員の関与を否定したとみられている。
ところが、週刊文春は、15日になって、フジテレビの現役女性アナが社員の関与を証言したとする新たな記事をウェブ版で出した。さらに、同局が昨年から外部の弁護士を入れて事実確認の調査をしていると朝日新聞などが報じ、16日には、同局の港浩一社長も女性アナ接待に関わっていた疑惑を文春が報じるなど、騒ぎが拡大している。
これに対し、フジテレビは16日、港社長による会見を翌17日に行うと発表した。記者クラブ対象の「定例会見」を前倒しして開き、中居さんの女性トラブルを巡る問題について説明するとみられる。
このトラブルについては、フジテレビの株を所有する米投資ファンドのダルトン・インベストメンツなどが、独立性が担保された第三者委員会を設置して事実の解明などをするよう求めており、会見では、こうした点も追及されるとみられている。
港社長による会見に関しては、フジテレビを監督する総務省が、何か口出ししていた可能性はあるのだろうか。
この点について、同省の地上放送課は1月16日、J-CASTニュースの取材に対し、会見は自主的な判断だとして、口出ししたことはないと答えた。
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国会議員から「どのように考えるのか」「調査しないのか」
「今回のことは、コンプライアンスに関わる話であって、放送法や電波法に基づいて指導する性質のものではありません。法的にそのような規定はないからです。フジテレビからは、何も報告は受けておらず、その義務もありません。放送事業者が自主・自律的にすることについて、総務省が立ち入って指導などすることはありません」
フジテレビが外部の弁護士を入れて調査していることも、報道を通じて知ったという。
放送法を巡っては、23年10月に、テレビ局の支配を禁じる「マスメディア集中排除原則」に基づいて、系列局の役員兼務規定に違反していた日本テレビに厳重注意の行政指導をしたことがある。
今回、放送法上の何らかの問題があれば指導するかについては、「まだ結果が出ていないことに対して、一概にコメントするのは難しい」とした。ただ、「フジテレビの社長が緊急の記者会見をするということですから、それを踏まえて、フジテレビは適切に判断・対応してもらえればと考えています」と話した。
フジテレビの関与疑惑については、国会議員から「どのように考えるのか」「調査しないのか」といった問い合わせが同省に2件来ているといい、回答を用意して議員に説明する予定だとした。
なお、フジテレビに対しては、10日の閣議後会見で、女性トラブル問題について、放送番組の編集に当たって「公安及び善良な風俗を害しないこと」を定めた放送法の第4条違反ではないかとの質問が出たが、村上誠一郎総務相は、こう答えていた。
「放送法は放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、放送番組にどのようなタレントを起用するかを含めて、放送事業者自らの責任において放送番組の編集を行うこととされております。このため、総務大臣としましては、この問題についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと考えております」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)