阪神・淡路大震災から2025年1月17日で30年。被害が甚大だった兵庫県神戸市は以後、長い年月をかけて復旧復興を遂げてきた。
半面、神戸市は近年、人口減少という大きな課題に直面している。
2011年にピーク、減少傾向で福岡・川崎に抜かれる
神戸市の統計によると、直近の24年12月の同市人口は149万2017人で、前年同月比6808人減となっている。
1994年10月1日時点で、市人口は151万8982人だったが、95年1月17日に阪神・淡路大震災が起きると、同年は142万3792人に急減した。以後、人口は右肩上がりを続けて2011年、154万4970人とピークに達する。
ところがこの年を境に、今度は減少傾向へ。23年には150万人を割りこんだ。
政令指定都市の人口ランキングでは14年、神戸市は全体で5番目に多かった。ところがその後、福岡市と川崎市に抜かれて24年には7位に後退した。
(広告の後にも続きます)
隣の明石市へ11年連続で「人口流出」
神戸市近郊の在住者に聞くと、買い物の際は神戸を通過して大阪中心部まで行くという。神戸は昔に比べて活気がない印象、店も早い時間に閉まる、との声が聞こえてきた。
同市の人口減の一因とされるのが、隣の明石市への流出だ。明石市によると、対神戸市では2013年から直近のデータがある23年まで、11年連続で転入超過が続いている。23年は、神戸市からの転入超過数だけで兵庫県全体の6割以上を占めたとある。
神戸市の久元喜造市長は、危機感を募らせる。23年10月12日の会見で、市人口が同1日時点で150万人を割ったことについて、死亡数が出生数の倍になっている点を指摘。「全国傾向とほぼ同じ」として、「人口減少時代にふさわしい政策」をどう推進していくかを課題に挙げた。
市が策定した「神戸2025ビジョン」では、「人口減少を抑制する観点」と「人口減少に適応する観点」の両輪から取り組みを進めるとある。掲げたのは、「魅力的な仕事の創出と産学連携による経済成長」「妊娠・出産・子育て支援と特色ある教育環境の充実」「多様な文化・芸術・魅力づくり」など7つの基本目標だ。