就職氷河期世代への支援は必須
紙幣を手に持つ男女
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初任給アップのニュースは、喜ばしいことである一方で、ある問題を社会に思い出させるものでもあります。それは、就職氷河期世代の問題です。
就職氷河期とは、1990年代から2000年代にかけて、雇用環境が厳しく就職難が社会問題化した時期のことです。そして、この時期に就職活動をしなければならなかった世代のことを就職氷河期世代と言います。2024年時点では30代後半から50代前半が就職氷河期世代にあたります。
大学卒業者に占める就職者の割合は、1990年は81.0%でしたが、90年代後半から2000年代初頭にかけて低下していき、2003年には過去最低の55.1%を記録しています。大学を卒業しても半分近くの人が企業に正社員として就職できなかったのです。筆者も就職氷河期世代の一人でしたが、数名の採用枠の企業に対して、数百人、数千人が応募するといった話は決して珍しいものではなかったと記憶しています。
初任給30万円以上の企業が続出しているというニュースに対して、就職氷河期世代からはSNS上で恨み節のような投稿が相次いでいます。
「羨ましい。未だに(30万円)超えないし、超えるまで何十年かかるんだ?」
「いまや面接で学生が『初任給を引き上げましたか』『定時に帰れますか』と質問する時代。そんなこと口が裂けても言えませんでした。」
「口だけの新入社員に多くの金を払い氷河期世代を大事にしない企業は潰れたら良い」
「初任給が30万円とかニュースで言っているけど、ウチら氷河期世代はその金額になるまで何十年もかかってんだよ。」
「私は初任給17万円で代わりはいくらでもいる、昇給は雀の涙という時代だったので違う世界線な感じです」
国民民主党の玉木雄一郎代表は、就職氷河期世代に対して次のように話しています。
「若い頃に十分に納められなかった彼らの年金をどうするか。政治が作り出した世代。政治が責任を取らなければならない。就職氷河期世代の問題にアプローチする政策を出したい。」
自民党は専門的な知識やスキルを学ぶことができる体制を強化する方針を打ち出し、立憲民主党は充実した教育体制と正規雇用で働ける制度改革を掲げています。
2030年代には就職氷河期の始めの世代が65歳以上の高齢者となります。就職氷河期世代の貯蓄額は他の世代と比べて圧倒的に少ないと言われています。このままこの問題を放置していると生活に困窮した高齢者が続出ということにもなりかねません。世代の一人だから言うわけではありませんが、この問題に対しては与野党が協力してできるだけ早く解決策や支援策を導き出してもらいたいところです。