
固定費を削減するよりもずっと難しい変動費を減らす場合、どのようにすればよいのでしょうか。ポイントは「悪い習慣をやめる」のではなく「置き換えること」だと、元メガバンカーの坂下仁氏は述べます。本記事では坂下氏の新刊『新版 いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)より一部を抜粋し、貯金の秘訣を解説します。
「意思の力」の代わりに「習慣の力」を活用する
出費は「固定費」と「変動費」の2種類に分けることができます。「一定の金額が毎月天引きされる支出」が固定費、「ぜいたくの度合いによって毎月変化する支出」が変動費です。
このうち、より難しいのが「変動費」の削減です。「意思の力」を使って出費を削減するのは事実上困難です。とはいえ、「変動費」をコントロールする術がまったくないわけではありません。キーワードは「習慣」です。「意思の力」の代わりに「習慣の力」を借りてくるのです。
習慣の力は、「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」というパーキンソンの第2法則に対抗できる唯一の力です。人間は動物に備わっていた本能の多くを失ってしまいましたが、その代わりにいくつかの素晴らしい能力を手に入れてきました。それは、「学ぶ力」と「習慣」というスゴ技です。
これらのスゴ技を活かして、人類は文明を築き、文化や技術を高めてきました。そして、この2つのスゴ技の片割れである「習慣」を飼い慣らすことができれば、あなたはいとも簡単に「変動費」をコントロールすることができるようになります。
「人間は習慣の動物である」というフレーズ、聞いたことがありますよね?この習慣という万能ツールを使いこなせれば、変動費の削減どころか、健康・運動・勉強などあらゆる難題をコントロールすることができるようになります。
森羅万象の例にもれず、習慣にも「良い習慣」と「悪い習慣」とがあります。たとえば、悪い習慣としてよく引き合いに出されるのが「ラテマネー」ですね。1杯あたり数百円のカフェラテのような小さな出費であっても、積もり積もれば大きな出費に化けてしまう、という戒めとして引用されます。
そこで、こうした悪い習慣をやめることから、始めてみましょう。
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悪い習慣は、やめずに上書きせよ
もちろん、快楽をもたらしてくれることをやめることには、痛みが伴います。ムリをすると失敗しますので、いっぺんに変えようとせずに、一粒一粒、米粒を潰すように変えていかなければなりません。その際に、1つだけ「絶対にやってはいけないこと」があります。
それは「その悪い習慣を単にやめてしまうこと」です。単にやめてしまうだけでは、やめた場所に空白が生まれてしまいます。空白ができてしまうと、根性なしの私たちは必ずその空白を埋めたくなります。そこに新たな悪い習慣が入り込むか、さもなくば元の悪い習慣が出戻ってくるのがオチなのです。
そこで、その代わりに、よい習慣を埋め込んでしまいましょう。悪い習慣をやめる一番効果的な方法は、別のよい習慣で「上書き」することに尽きます。具体例で見てみましょう。
たとえば、風呂上がりにはビールが欠かせないというあなた。発泡酒や第三のビールでも500ml缶は150円以上しますし、糖質とかプリン体とかいう余計な副産物もくっついてきます。しかも、アルコールは体から水分を奪い取るので、飲めば飲むほど喉が渇きます。
そこで、風呂上がりのビールという気持ちいい習慣をやめるために、別の気持ちいい習慣で上書きをするのです。風呂上がりは水分が不足して喉が乾くので、要は喉の渇きを癒やすさっぱりとした刺激のある飲み物があれば十分なのです。
一番効果的なのは、ウィルキンソンタンサンレモンやサントリー天然水スパークリングレモンのようなレモン風味の無糖炭酸水です。風呂上がりの炭酸水は刺激的で無茶苦茶ウマイ!これを続けると、いつの間にか、ビールを飲まなくても済むようになってしまいます。出費も半分に減りますし、ポッコリお腹もへこみます。
私自身も、炭酸水のおかげで風呂上がりのビールという悪い習慣から抜け出すことができました。
坂下仁
お金のソムリエ協会会長
※本記事は『新版いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。このメソッドによる結果に編集部は一切責任を負いません。自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。