
何をいつどのように整理するのか、遺品整理とはどう違うのかなど、知っているようで知らない生前整理について詳しく紹介!興味はあるけれど、いつどのように始めればいいのかわからない人も多いはず。社会貢献にもなるおすすめの不用品処分方法も紹介します。
生前整理とは

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近年、「終活」とともに耳にすることも多くなった「生前整理」ですが、どのようなものなのか、何を整理すればよいのかわからない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、生前整理とは何なのか、その対象や適切なタイミング、遺品整理との違いについて詳しく解説します。
これまでの人生のお片付けをすること
生前整理とは、自分の体が自由に動き、時間や体力に余裕があるうちに身の回りの物品や財産の整理を行うことです。
自分が亡くなった後に残された家族が物品の整理で苦労したり、相続で揉めたりしないよう、終活の一環として行います。
また、これまで自分がどのような人生を歩んできたのかを振り返り、自分にとって必要なものや大切なものを見極めて、これからの人生をよりよいものにし、最後まで自分らしく生きるために行う「人生のお片付け」だといえます。
生前整理の対象は主に3種類
生前整理の対象となるのは、主に以下の「物品」と「財産」、「デジタル遺品」の3種類です。
物品:写真・日記・手紙・衣類・書籍・趣味のコレクションなど
財産:現金・預貯金・有価証券・土地・建物・貴金属・美術品など
デジタル遺産:スマートフォン・パソコンなどに保存されたデータやSNSのアカウントなど
物品とは、思い出の品や日用品、個人情報などのことを指します。
例えば、写真や日記、手紙、衣類、書籍、趣味のコレクションなど。自分で作成した絵画や工芸品などの物品に分類されます。
財産とは、お金に変えられるもの全般のことです。
例えば、現金や預貯金、有価証券、土地や建物などの不動産、貴金属、骨董品・絵画などの美術品がこれにあたります。
財産は整理されていないと自分の死後に家族間でトラブルが起こる可能性もあるため、注意が必要です。
また、デジタル遺品に明確な定義はありませんが、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器に保存されたデータ、SNSやインターネットサービスのアカウント、サブスク、仮想通貨などをイメージしておくとよいでしょう。
デジタル遺品は、パスワードがわからないと家族が困ってしまうものも多いです。不要なデータは削除したうえで、しっかりと管理しておくことをおすすめします。
生前整理を行うタイミング
生前整理を行うタイミングに特別な決まりはなく、いつ始めても問題ありません。
一般的に、時間に余裕のできる60代から始める人が多いですが、40代で親の介護や子どもの進学などをきっかけに金銭面の整理を始める人や、50代の子どもが独立したタイミングで物品の整理を始める人も多いです。
早い場合だと、30代から万が一の事故や病気に備えて、配偶者や子どものためにデジタル遺品を整理しておく人もいます。
遺品整理との違い
生前整理とよく似た言葉に「遺品整理」があります。
遺品整理とは、残された家族が亡くなった人の遺品や財産を整理・処分することです。生前整理も身の回りの物品や財産を整理するという点では一緒ですが、それを行う人や時期が異なります。
他には「老年整理」もよく生前整理と混同されることがあります。
老年整理とは、老いに備えるために行う整理のこと。体の自由が効くうちに、身の回りの片付けや整理を行うことから、「自分自身のために行う」ものです。
生前整理には自分と向き合うためという意味も含まれ、自分が亡くなった後に残される家族のために行うものでもあるため、基本的な考え方が異なるといえます。
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生前整理のメリット・デメリット

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生前整理を行うと、さまざまなメリットが得られますが、その一方でデメリットもあるため、両方を理解したうえで適切に行いましょう。
ここでは、生前整理のメリットとデメリットを紹介します。
生前整理のメリット
生前整理には、以下のようなメリットがあります。
遺品整理の負担を軽減できる
大切なものを確実に引き継げる
相続トラブルを避けられる
気持ちの整理ができる
家の中がすっきりする
もしものときの対応がスムーズにできる
生前整理のもっともわかりやすいメリットは、遺族が遺品整理を行うときの負担を軽減できることです。
どこに何があるかわかるようにしておくことで、離れて暮らしている場合でも、遺品整理にかかる労力と時間を少なくできます。
自分が大切にしていた趣味のコレクションや思い出の品など、家族に引き継ぎたいものが不用品に紛れて捨てられてしまうのを防ぐことも可能です。
誰に何を遺したいのかをあらかじめ伝えられるため、相続トラブルを避けることにもつながります。
また、整理をしていく中で、自分自身の気持ちを整理できてすっきりします。家の中も綺麗に片付き、その後の生活を前向きに送れるようになるでしょう。
病気や事故での急な入院、施設に入居することになった場合も、自分の代わりに手続きをしてくれる家族が必要なものを探し出しやすく、スムーズに進められるなど、生きている間に得られるメリットもあります。
生前整理のデメリット
多くのメリットがある生前整理ですが、まったくデメリットがないわけではありません。
まず、生前整理は1日や2日で終わるものではないため、時間と労力がかかります。長年溜め続けた身の回りのものを一つずつ仕分け、不要なものと残したいものにわけるだけでもかなりの時間と体力が必要です。
次に、生前整理にはお金がかかる点にも注意が必要。不用品の処分費用や、資産の調査費用など、ある程度のお金がかかることを理解しておきましょう。
とはいえ、生前整理を行わなかった場合、自分が亡くなった後に遺族が時間と労力、お金をかけて遺品整理を行うことを考えると、早いうちから作業を進めておくのがおすすめです。