脳の不調を引き起こすNG行動って?機能低下で起こる「感情失禁」とは?【医師解説】

集中力が続かない、落ち込みやすい……。これらは脳のコンディション低下のサインかもしれません。医師・平井麻依子さんがつづる『 「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた 』から一部抜粋し、脳の機能低下で起こる不調と原因となるNG行動を紐解きます。

不調をもたらす「脳の3つの機能の低下」とは?

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前回の記事では、「脳のコンディションチェックリスト」を紹介しましたが、結果はいかがだったでしょうか?
今回は、脳のコンディション低下がもたらす不調と、その原因を解説していきます。

脳のコンディションには、次に挙げる脳の3つの機能が大きく関わっています。これらの機能が低下すると、何が起こるのか? 日常生活に及ぼす影響とともに見ていきましょう。

脳の機能1「決定・遂行」

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物事を判断し、進める機能。目標を設定し、そこまでのプロセスを計画し、適切な問題解決を行い、意思決定をし、それを効果的に実行していきます。

【この機能が低下すると……】 

要領が悪くなり、業務に時間がかかる
優先順位が決められない
見通しを立てて行動できず、納期に遅れる
一つ一つ支持されないと行動できない
臨機応変に対応できない

脳の機能2「社会的認知」

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他者とかかわる機能。他人とコミュニケーションをとり、社会生活を営むために必要な認知機能で、これにより人に共感し、モラルに沿った適切な振る舞いができるといえます。

【この機能が低下すると……】

他人の気持ちがわからなくなる
非社会的な行動をしてしまう
イライラしやすくなる
他人の言葉に敏感になる
感情のコントロールができなくなる

脳の機能3「主観的幸福感」 

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感情を司る機能。快い感情、満足度、気分を形成します。感情的側面(楽しい、悲しいなど)と認知的側面(自己の生活に対する満足度)を持ちます。

【この機能が低下すると……】

感情のバランスが取れない
生活への満足度が下がる
集中力や意欲の低下
気分が落ち込みやすい
なかなか寝付けない

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「感情失禁」を知っていますか?私自身が驚いた経験

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「感情失禁」とは、喜怒哀楽やあらゆることに対して、感情が自分でも信じられないほどに大きくなり、言葉や表情などを抑えるのが困難になる現象です。前述の「社会的認知」の低下や、脳梗塞などの脳疾患の術後に出るといわれています。

典型的な症状としては、抑えきれない感情をコントロールできずに早口で話したり、話の途中で自分が何を言っているのかわからなくなったりするなど。堰を切ったようにあらゆる感情があふれ出してしまうのです。

私の場合は、くやしさ・悲しみに対して、とにかく泣きそうになるという症状が出ました。本当に些細なことで泣いていて、泣き始めたら最低30分は泣き止むことができなかったのです。

術後3か月くらいで症状は止まりましたが、手術前の50倍くらい感情が動かされていたように思います。

みなさんの中にも、ストレスフルな日々が続くと、「些細なことで涙が出てきた」「それを抑えられなかった」という経験をした人はいるかもしれません。

感情のコントロールの困難さは、燃え尽き症候群の症状でもあります。もし、自身や職場の同僚らに似たような兆候がみられたら、産業医などの専門家に相談することをおすすめします。