実質賃金プラスへの期待感は微妙な状況を示唆

1月「実質賃金」関連先行き判断DIは、景気判断の分岐点と同じ、50.0に。実質賃金プラス化への期待感が微妙な状況を示唆。

1月景気ウォッチャー調査で「実質賃金」関連現状判断DIを計算すると37.5になりました。厳しい数字ですが、11月と12月の0.0(25.0?)からは改善しているともいえるでしょう。毎月勤労統計の実質賃金前年同月比で11月分が速報値のマイナスからプラスに上方修正されたこともプラスに働いたのでしょうか。ただし、1月「実質賃金」関連先行き判断DIが50.0と12月の54.2よりやや鈍化しました。先行き判断DIは実質賃金プラス化への期待感が微妙な状況であることを示唆している感じです。

1月「ボーナス」関連現状判断DIは66.7で、12月53.9に続き50超になり、個人消費の下支え要因となったと思われますが、コメント数は1ケタに低下し影響力が小さくなりました。

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4月に迫る「万博」、やや関心は増えたが…

「万博」関連先行き判断コメント数はやっと1月で36名に増加。同DIは69.4と判断の分岐点50を上回る高水準。

大阪・関西万博はいよいよ4月に開幕します。景気ウォッチャー調査の先行き判断でのコメント数は11月までは1ケタで関心の薄さが気懸かりでしたが、12月で10名、1月では36名まで増加し、25年にはいると、近畿を中心に盛り上がりをみせてくれることを期待したいところです。「万博」関連先行き判断DIは69.4と、判断の分岐点50を上回る高水準になっています。

「桜」関連先行き判断DIは81.8と高水準に…好転が期待される

「桜」関連先行き判断DIは81.8。桜を目的とした利用客増加に期待。

1月の「桜」に関する先行き判断コメント数は11名になりました。「桜」関連先行き判断DIは81.8と高水準でした。コメントの内訳をみると「良くなる」が3名、「やや良くなる」が8名です。

「春になれば桜を目的とした利用客が増えてくる。(中国:観光型ホテル(副支配人))」、「当地では大阪・関西万博による需要は多くないが、桜のシーズン後は好転することを期待している。(近畿:都市型ホテル(客室担当))」などのコメントがありました。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。