
求められるのは、自尊心と幸福感を守る支援

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脳は、最後まで自尊心を持ち続けます。そして自分を守るために働き続けようとします。なので、その人が好きなことの中で、少しでも達成感を得られるようなことを細かく見つけていくのが周囲の方には大切です。
本当に小さなことでよくて、母の場合、料理はできなくなり、でも料理をしている私から何か感じ取って、近寄ってきてくれたりする中で、使いきったチーズの包み紙を「これ捨ててきてくれる?」と頼むと、とても喜んでやってくれました。
どんなに失敗しても一つの部屋の片付けは母に任せました。私たちから見ると結果的に片付けには全然なっていないけれど、「この部屋は思うように片付けて」と任せると、達成感や喜びを感じてくれているのがわかります。
植木の世話でもいいと思います。施設などでも「これはあなたが面倒みてくださいね」と任せて、たとえ水やりを忘れてしまって枯らしてしまうことがあっても、自分が任されているという気持ちを持てて、自尊心につながります。それで幸福感ややる気が変わってくるというのは知られているのです。
次回も引き続き、認知症の人に周囲の方ができることについてお話しします。
取材・文=原田浩二(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2024年2月号を再編集しています。