桐島かれん、認知症を患う作家で母・桐島洋子さんとの今「“切れ味鋭い桐島洋子”が少し恋しい日も」

力強く、自分らしく生きてきた母。その道を追いかけて

一方、かれんさんは20歳でデビュー。モデル、歌手、女優として活躍し、29歳で長女が生まれてからは、仕事を休み子育てに専念しました。

しばらくは4人の子育てにどっぷりでしたが、「放っていても子どもは育つから、やりたいことをしなさいよ」という洋子さんの言葉に後押しされるように、アクセサリーやインテリア雑貨を扱うショップをオープン。

「母が私たち子どもを連れ、世界を旅しながら作品を発表したように、私も子どもを連れて世界を旅して手工芸品を集め、お店に並べていました」

かつて気になって仕方のなかった母の生き方と、桐島さんの人生が交差していったのでした。

骨董品を蒐集していた洋子さんから譲り受けたアンティークのバカラのグラス。丁寧に作られた手仕事の品が大好きなのは母と同じ

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聡明な母が「アルツハイマー型認知症」と診断されて

病気のため途中で断筆し、子どもたちが書き継いだ『ペガサスの記憶』(桐島洋子・かれん・ノエル・ローランド著、小学館刊)

2020年に発表した母と3人の子どもによる共著『ペガサスの記憶』で、2014年から洋子さんがアルツハイマー型認知症であることを公表しました。

「それまでも物忘れはありましたが、年のせいと思っていましたし、あの聡明な母が認知症だなんて考えたくなかったのです」

しかし旅先でホテルの部屋へ戻れないことなどが続き、検査に行くと、アルツハイマー型認知症と診断。心の整理がつかず、母への告知も悩みました。

「医師に相談すると、『伝えても大丈夫でしょう。5分後にはお忘れになっていると思います』と。本当にその通りでした」

現在は症状も落ち着き、横浜でヘルパーさんとマンション暮らし。月に数回会っています。

「病気になる以前の“切れ味鋭い桐島洋子”を少し恋しく思うこともあるのですが、母は今とても穏やかで、かつて私が望んでいた『普通のおばあちゃん』でもあります」