桐島かれん、認知症を患う作家で母・桐島洋子さんとの今「“切れ味鋭い桐島洋子”が少し恋しい日も」

認知症を患う母との接し方で心掛けていることは

かれんさんと洋子さん。「昔から母はパーティー好きで、お料理上手。お客さんが集まるときは腕を振るって、よくごちそうを作りました」

認知症もいろいろあり、症状も段階も人それぞれだから一概に言えませんが、母に関しては、プライドを傷つけずに接することを第一に考えています。

とにかく自立して生きてきた母なので、今でもそう本人が思えるように生活を組み立てています。

「〇〇してあげようか?」と言っても「そのくらい、自分でできるわよ」と必ず答えるから、言わずにごはんを作っておいたり、洗濯機を回しておいたり。

アルツハイマーとわかってから母に依頼のあった取材は、私や妹が一緒についていきサポートしたりしていました。

それと何より、家族だけで抱え込まずプロに頼むのもポイント。

妹は母と7年間一緒に暮らして面倒を見ていましたが、彼女はすごく大変でした。「何度言っても、どうしてできないの?」と母に強く言ってしまっては、落ち込んでいました。

今は、妹が探したヘルパーさんの力をフルに借りています。その結果、衝突することもなくなり、母とは楽しく旅の話などをしています。母も、私たちがピリピリしないので、気持ちよく過ごせるようになったと思います。

取材・文=井口桂介(ハルメク編集部) 撮影=平岡尚子(桐島かれんさん) 衣装協力/ハウス オブ ロータス

※この記事は雑誌「ハルメク」2023年6月号を再編集、掲載しています。