
ナチュラルに憧れつつ、便利な現代の生活は捨てがたい

アズサさんの周りにはガチガチの運動家もいるが、まずは自分自身がナチュラルライフを楽しむことが重要だと彼女は言う。
「いずれどこかの離島で農業をしながら暮らしたいという思いはあります。ただ、80歳になる母がいて、やはり都会の便利な生活は手放せない。そこに私自身の矛盾と葛藤がありますね」
人も自然の一部、環境を破壊せずに暮らすのが一番とはいえ、電気や自動車、携帯電話がない生活は難しい。
「少しでも自然に近づきたい。そんなレベルでしか活動できませんから、そういう社会的意識のない人を批判はできないんですが、それでももうちょっとみんなに地球温暖化のプラごみ問題、原発問題、自然保護問題などについて考えてほしいという気持ちはあります。着飾ったりお金を使って遊ぶこと以外に、もっと重要なことがあるんだと知らせたい」
最後は熱のこもった口調だった。バブル時代に人生が狂ってしまった家庭に育ったからこそ、正反対の生活や人生を目指す彼女の気持ちが切実に伝わってきた。
化粧はしない、ケミカルなものは口にしない、あえてナチュラルな生き方を目指す人たちの中には、こういうタイプも少なくないのかもしれない。
取材・文=亀山早苗