
この時期こそしっかりセルフケアをしよう!

更年期の女性は仕事に家事に子育てに介護にと、さまざまな役割や責任を持ち、多忙な時期と重なります。自分のためにゆっくり時間を使うなんて、なかなかできません。とはいえ、心身の不調を来してからでは取り返しがつかないことも。
「忙しさのためにセルフケアをおざなりにすると、生きがい、やりがい、そして経済的な安心感を手放すことになりかねません。実際、更年期の不調からキャリアを諦める人もいるというデータが出ています。健康があって初めて、“自分自身の足で立っている”という状態が成り立つのではないでしょうか」と高尾さん。
更年期はよく、曲がり角に例えられます。曲がり角に差し掛かっているときに、今までと同じスピードで走り続けたら、事故を起こしてしまいます。
「曲がり角を安全に曲がり切るには、今までよりもスピードを落とす必要があります。仕事や子育てはもちろん、今までがんばってきた趣味なども、少しずつ調整して無理をしないこと。曲がり角を抜け切ったら、またスピードを上げればいいのです」と高尾さんは言います。
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更年期に見直すべき5つのポイント
では具体的に、どんなことを見直せばいいのでしょうか。ポイントは5つあります。
1睡眠

現代人の多くは慢性的な睡眠不足。睡眠不足はメンタルにも大きく影響します。特に40代以降の女性に多い訴えが、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」。夜中や明け方にトイレで起きてしまうことが多いため、予防策としては寝る前の飲水量を減らすこと。
また睡眠のリズムを考えると、まずは寝入りの3時間をしっかり眠るようにすると、睡眠のリズムが整います。日中に適度な運動をする、就寝前はリラックスを心掛けるなど、なるべく睡眠の質を高めるようにしましょう。
2運動

運動は肩こりや腰痛が改善するだけでなく、ほてりやホットフラッシュなどの自律神経失調症状を軽減する効果があります。また、体だけでなくメンタルにもプラスになり、睡眠の質もアップ。激しい運動は必要ないので、ウォーキングなど、隣にいる人と話ができる程度の運動を。ウォーキングやジョギングは骨密度もアップさせ、アフター更年期にリスクが高まる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防にも。骨を強くするためには歩く、ジャンプをするといった重力のかかる運動が最適です。
さらに、カルシウムを骨に吸収させるには、ビタミンDが必要。ビタミンDは、日差しを浴びることで産生されます。1日10〜15分は、直射日光にあたりましょう。
3食事

更年期はエネルギーの代謝が変化する時期。過剰なエネルギー摂取や栄養不足があると、心身のバランスを崩しやすくなります。食事は3食バランスよく食べるのが基本。
大豆製品をよく食べる人は更年期症状が軽いことが知られてきました。これは、大豆に含まれる「大豆イソフラボン」が腸内で「エクオール」という成分に変換されることによって、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きを期待できるため。
ただ、エクオールが産生できる人とできない人がいることもわかっています。エクオールを産生できる体質の人は、大豆を積極的にとるようにしましょう。エクオールを産生できないタイプの人でも、大豆製品を食べ、食物繊維や発酵食品を積極的にとることで産生能力が上がる可能性があります。
4健康診断

職場や自治体で健康診断を受けている方は多いと思いますが、毎年決まった検査項目でなんとなく受けているだけになっていませんか。
更年期で不調が見られるとき、その症状が更年期障害か他の病気かを見分けるためにも、健康診断は必要です。例えば更年期の女性に多い甲状腺疾患では、更年期障害と似たような症状が見られます。こうした病気を除外して初めて、更年期障害と診断されます。
そして、健康診断のメリットは、異常の早期発見ができること。健康診断を受ける際には、「検査項目」をチェック。更年期以降にリスクが高い婦人科系の病気や甲状腺機能、子宮体がん、乳がんなどは意識して検査するようにしてください。
5体重管理

更年期以降は、筋肉量が減るため代謝が落ちます。また、エストロゲンが材料にしていた脂肪が使われないので、それまでと同じ量を食べていたら太ってしまいます。マウスレベルの研究ですが、脂肪細胞の数が同じでもエストロゲンがないと、脂肪細胞の大きさが大きくなることもわかっています。だからこそ、食事をコントロールすることや適度に運動を続けることが大事。
ちなみに「水を飲んでも太る」というのは正しくはなく、その原因は塩分をとり過ぎているため。更年期以降は、塩分のとり過ぎは高血圧にもつながるため、なるべく濃い味つけのものは控えましょう。