離婚後、元夫に「実は隠し子がいた」と発覚したら、多くの人がパニックになってしまうものです。場合によっては離婚後であっても慰謝料を請求することも可能ですが、元夫とのあいだに「我が子」もいる場合は養育費において注意が必要です。本記事では、離婚後に隠し子が発覚した場合の慰謝料と養育費について、Authense法律事務所の白谷英恵弁護士が解説します。

離婚後に隠し子が発覚した場合の慰謝料

離婚後、元夫が子どもを認知したことにより「実際には婚姻中に不倫をして別の女性との間に子どもを作っていた」といった事実が発覚するケースがあります。その場合、離婚後であっても相手に慰謝料を請求できるのでしょうか?

1.慰謝料請求は「できる」

離婚後も慰謝料請求はできます。相手が不倫をして婚姻関係を破綻させた場合、あなたには相手に対する離婚慰謝料の請求権が認められるからです。

離婚慰謝料の時効は「離婚後3年間」なので、離婚後3年が経過していなかったら慰謝料請求可能です。また、離婚時に相手の不倫を知らなかった場合には「不倫の事実を知ってから」不倫慰謝料の時効期間をカウントします。離婚後にはじめて不倫の事実を知った場合には、そのときから3年以内であれば慰謝料請求できる可能性があります。

たとえば離婚時には相手の不倫を知らず、離婚後1年が経過してから隠し子をきっかけに不倫を知った場合には、そのときから3年間、相手に慰謝料請求できる可能性があります(離婚後4年以内ということです)。

2.慰謝料請求できないパターン

離婚後に子どもの存在が発覚しても、慰謝料請求できないケースがあります。それは、すでに離婚時に慰謝料を払ってもらっている場合です。

離婚前から相手の不倫が発覚しており、相手の不倫を理由に離婚したなら離婚時に慰謝料が支払われているでしょう。その場合、離婚後に隠し子が発覚したからといって、あらためて慰謝料を払ってもらうことは原則として困難です。離婚慰謝料は「相手が不倫して婚姻関係を破綻させたことによる慰謝料」であり「外に子どもを作ったことによる慰謝料」ではないからです。

また婚姻時から相手が不倫した事実を知っていて、離婚後3年が経過しているケースでも、慰謝料請求できません。その場合には慰謝料請求権が時効にかかるからです。

3.慰謝料請求できるパターン

離婚後に相手の隠し後発覚をきっかけに慰謝料請求できるのは、以下の2つの条件を満たすケースです。

・離婚後3年以内または相手の不倫を知ってから3年以内

・離婚時に慰謝料の支払いを受けていない

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離婚後に請求できる慰謝料の相場

離婚後に慰謝料請求できる金額の相場は100~300万円程度です。慰謝料の金額は、さまざまな事情を総合考慮して決められますが、婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料の金額は高額となるのが一般的です。