総合満足度が高いpovoが、なぜ乗り換え先では上位にこない?

――これに対して最も乗り換え意向が高いのはSoftBankです。SoftBankのどこに不満で、乗り換えたいと思うのでしょうか。一方、SoftBankは10代の乗り換え先検討では2位になっています。このギャップの理由は何でしょうか。

担当者 SoftBankは当社の最新の「MVO(大手4キャリア)のシェアと総合満足度調査」では満足度が下位になっており、離脱要因の傾向が表れています。ただ、SoftBankユーザーの乗り換え移行先ではサブブランドのY!mobileが人気なので、同じキャリア内でブランド移行が起こっています。

10代の乗り換え先でSoftBankが高い理由は、ソフトバンクのデビュー割で22歳以下の人が実質0円になり、通信費を抑えられて新しい端末もお得に購入できることが挙げられます。

――なるほど。ところでその「MVOのシェアと総合満足度調査」では、総合満足度1位がpovoでした。しかし、povoは乗り換え先としての人気度が低く、前回調査と比較しても0.5ポイント下げたばかりか、どの世代のランク3位に入っていません。このギャップの理由は何でしょうか。

担当者 満足度調査は利用者の方の声となるため、乗り換え先の人気を示すバロメーターとしてよりも、継続的に利用したい意向に対する指標としてみることのほうがいいです。評判が高まればクチコミで人気が高まる可能性があります。
povoはデータトッピングという通信ブランドの中で新しいサービスを提供しています。基本料金0円のため、サブ回線として人気があります。今回の調査はメイン回線の乗り換え検討先の調査になります。

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新規ユーザー獲得競争から、長期利用者の定着サービス競争に

――最後の乗り換え理由をみると、ユーザーたちは何をもって乗り換えたいと考えているのでしょうか。結局、「安ければいい」という結果に思えますが、いかがでしょうか。また、携帯大手各社は乗り換え先問題に関してはどのような競争をしているのでしょうか。

担当者 通信サービスは電気やガスと同じで、生活に欠かせないインフラです。そのため、不満がなければ乗り換えはあまり意識しません。乗り換えを意識する不満の2大要素は「通信がつながらない」「料金が高い」になります。

企業はお客の不満を取り除く努力とともに乗り換え先として選択してもらうためにさまざまな独自施策を取り組んでいます。今回の調査で人気の楽天モバイルやY!mobileは、特徴ある魅力で差別化を図り人気となっています。

調査では乗り換えを検討している10~30代は3割を超えています。番号をそのまま移行できるMNP(携帯電話番号ポータビリティ)や、オンラインで手軽に契約できる環境が整備され、若い人々にとっては乗り換えが難しくないという感覚が浸透しています。

新規ユーザーの獲得競争に力を注いでいた各社も、長期利用者にさらに使い続けていただく取り組みを強化しています。そのため、通信サービスだけの特典ではなく、金融サービスなど経済圏の競争が始まっています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)