50代から増える「まぶたのたるみ」実は眼瞼下垂かも?見分け方と対策は【医師解説】

眼瞼下垂の種類は大きく分けて2つ

まぶたの皮膚がたるむことでも「眼瞼下垂」に

眼瞼下垂とは、まぶたの機能異常の一種で、まぶたが下がり目の瞳孔にかぶさってくる状態になります。先天性の眼瞼下垂もありますが、年を重ねることで誰もがなりやすい「眼瞼下垂」の場合、その原因は大きく二つに分けられると佐藤さんは言います。

「先天性、外相や異物、脳梗塞、神経麻痺や交感神経がうまくはたらかないことが眼瞼下垂の原因になる場合もありますが、50代以上の女性がなりやすい眼瞼下垂とは、『皮膚弛緩性』『腱膜性』のものがあります」

まず「軽度の眼瞼下垂かも?」という人に多いのが、加齢によってまぶたの皮膚がたるみ、視野が妨げられる「皮膚弛緩性」の眼瞼下垂。「偽眼瞼下垂」とも呼ばれます。

“偽”とつくから誤解を受けやすいけれど、実はれっきとした病名。加齢によるまぶたのたるみ、眉下の皮膚のたるみ以外にも、顔面神経麻痺が原因でなることもあるそうです。

そしてもう一つが、保険適用の治療が受けられる「腱膜性の眼瞼下垂」です。

(広告の後にも続きます)

腱膜性眼瞼下垂とは?腱膜性眼瞼下垂の原因と仕組み

腱膜性の眼瞼下垂の場合、目の大きさや形が左右非対称になる場合も

「腱膜性の眼瞼下垂」を正しく理解するためには、まず目がなぜぱっちり開くのか? その仕組みを見ていきましょう。

「人の目は、まぶたを閉じることでほこりや光などの異物や刺激から保護され、また、まばたきをすることで、涙を出して目についた汚れを洗い流したり、目の乾きを防いだりしています。このまばたきをするときに、まぶたを引き上げる筋肉を眼瞼挙筋といいます」(佐藤さん)

「まぶたの後ろにある眼瞼挙筋(図の赤い部分)は、まぶたの先端に近付くと眼瞼挙筋腱膜(図の青い部分)と呼ばれる薄く硬い膜になります。この腱膜は、まぶたのふちの瞼板(けんばん・図の黄色の部分)という板状の組織に付着していますよね。目は、この瞼板(黄)が、眼瞼挙筋(赤)の縮みによって持ち上げられることで開く仕組みになっています。

そのため、眼瞼挙筋(赤)と瞼板(黄)をつなぐ眼瞼挙筋腱膜(青)が、加齢とともに伸びてしまったり切れたりすると、上まぶたが上がらず、目が開かなくなってくるのです」(佐藤さん)

イラストの青い部分「眼瞼挙筋腱膜」が伸びたり、ゆるんだり、切れたりすることで上まぶたが垂れる眼瞼下垂になってしまいます

「眼瞼挙筋(赤)の筋力は加齢によって低下します。そのため、50代を過ぎると眼瞼下垂になりやすくなります。顔の印象も変わりますし、症状が進むと、視界が遮られて日常生活に支障が出ることもあるので、たかがまぶたのたるみ、と侮ってはいけません」(佐藤さん)