
今週のテーマは「結婚願望がない彼氏が、旅行先で結婚を決意した理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:結婚願望のない33歳男が、突然プロポーズを決意。2泊5日の海外旅行で気持ちが変化したワケ
正直、このフィジー旅行へ行くまで、由奈との結婚はないと思っていた。33歳になる僕と、今年の7月で30歳になる由奈。
交際期間はもう2年にもなるし、由奈が結婚を意識しており、早くしたいと願っていることも知っていた。
でも僕はどうしても結婚をイメージすることができず、先日、ついハッキリと由奈に言ってしまったくらいだ。
「ごめん、由奈。由奈のことは好きだけど、結婚する気はない」と。
自分でも酷いと思ったけれど、無駄な希望を抱かせるほうが申し訳ないと思っていたからだ。
しかし今回の旅行の最終日に、僕は思わずこう言うことになる。
「結婚しない?」
自分でも、こんなふうに考えが変わるなんて思わなかったし、驚いた。しかし旅行というのは、相当な相性がわかるもの。
思わずプロポーズしたくなるような、フィジーという場所も大きい。
でも今回の旅行中、「この子と一生一緒にいたい」と思うような言動が溢れていたのだ…。
A1:常に笑顔で、喜んでくれるのが嬉しい。
成田空港から、直行便で約9時間。フィジーエアウェイズに乗り、僕たちはフィジーへと辿り着いた。
「着いた〜!!来たね、フィジー」
到着した瞬間から、ニッコニコでテンションが上がっている由奈。その様子が可愛くて、僕は思わず笑顔になる。
オーバーナイトフライトだったため、朝早くにナンディ国際空港へ到着した僕たち。旅の目的のホテルまでは船で移動する予定なのだが、それまでに時間がある。だから僕は、仮眠できる用の、空港近隣のホテルを一応押さえていた。
正直、自分でもこれはナイスアイディアだったと思う。でも由奈は、想像以上に感動してくれた。
「蓮ってさ、本当にスマートだよね。いつもありがとう」
「いえいえ。由奈が喜んでくれるのが一番だから」
男なんて単純なので、こうやって感謝されたり喜んでもらえると、「やって良かった」と思うし、嬉しいもの。
そして今回のステイ先である「シェラトンリゾート&スパ トコリキ アイランド」へ到着した後も、由奈のニコニコは止まらない。
「どうしよう…天国に来ちゃった」
船がホテルへ到着した途端、たしかにそこには天国が広がっていた。突き抜けるような青い空と、肉眼でも魚がたくさん見えるほど透き通った、綺麗な海。
今回、僕自身も初フィジーだったけれど、その綺麗さには思わず言葉を失うほどだった。
しかし僕以上に、由奈は喜んでいる。
「蓮、すごくない?ねぇ、最高なんだけど!!」
「由奈ってさ、本当に感受性豊かだよね。嬉しい時は嬉しい!って叫ぶし」
「だって、嬉しいし楽しいから。本当に蓮、ありがとう」
そんな由奈を見ていると、「一緒に来れて良かったな」と思った。
一緒に旅行をしたときに、テンションが低い相手なんかだったら最悪だ。それに、やりたい事や食べたい物など、価値観が似ている人がいい。
その点、由奈は喜んでくれるし常にご機嫌だし、一緒にいると楽しい。
そしてチェックインを済ました後、スーツケースを開いてパパッと洋服をハンガーへかけてくれた由奈。
― こういうさり気ない気遣いができる人って、最高なんだよな…。
由奈が綺麗好きだということは知っていたけれど、今回の旅行でもそれが顕著に現れていた。
そして到着した日は、燦々と輝く太陽の下でランチをし、その後はプールサイドやビーチでひたすらのんびりする…といった、最高のバケーションタイムが幕を開けた。
プールサイドで寝転びながら、僕はただひたすら幸せを感じていた。
しかし、そこでとあるイベントが目に入った。ビーチサイドでバーを特設してくれるらしく、「由奈、好きそうだな…」と思ったのだ。
案の定、夕方に由奈の手を引いてサンセットを眺めながら楽しめるバーへ連れて行くと、目を丸くしている。
「どうしたの?」
「由奈のために、準備してもらったんだ」
「何これ!すごいんだけど…」
「ホテルの人に頼んだら、手配してくれて。良くない?」
「良いどころか…こんなの初めてだよ」
もはや、感動で泣くんじゃないかと思うくらい、感極まっている由奈。(僕はただ手配をしただけで何もしていないけれど)、ここまで喜んでくれると僕の方まで嬉しくなる。
しかし、急に由奈がこんなことを言い始めた。
「私さ、蓮といられて本当に幸せなことしかなかったな。こうやって、新たな世界を見せてくれて、いつも楽しい時間にしてくれて。私、この2年間を振り返って、笑顔の時間しかないもん」
まるで、この旅が最後かのような言い草だ。でもそんなはずはないし、ただただ感謝の気持ちを述べてくれただけだろう。
「え?どういうこと?由奈、これからも一緒にいるんだし、もっと楽しい時間を一緒に作っていこうよ」
「うん、そうだね」
でも、どうしてだろうか。この時のサンセットに反射した由奈の顔がどこか寂しそうで、この日、なぜか僕はずっと気になってしまった。
A2:この先も、ずっと一緒にいる未来が見えたから。
そして三日目はアイランドホッピングやスパを手配していたのだけれど、ここでも毎回、由奈はどんな場面でも、楽しそうにしている。
これほど澄んだ海を目の前にしたら、誰でも笑顔になると思うけれど、スキューバダイビングやカヤックなど、やりたいアクティビティも一緒だし、この旅でずっと一緒にいるのに、ノーストレスなことに気が付く。
食事の時も、同じくらい飲んで、それでもまだ会話をして…。
また由奈が好き嫌いもなく、なんでも「美味しい」と言って食べるところも、僕が彼女のことを好きなポイントでもあった。
そして今回一緒に海外旅行をし、気がついたことがある。普通、女性と旅行をすると洗面所はかなり大々的に化粧品などが広げられると思うのに、由奈の身の回りは、いつもきちんと整えられている。
そういう家庭的なところがさらに垣間見えて、そして勝手に、「子どもとかできたら、いい母親になるんだろうな」などと考えてしまった。
何よりも、今回の旅行でさらに思ったのが、由奈は精神がとても安定している、ということだ。
「改めてなんだけどさ、由奈っていつもテンションが一定だよね。いや、むしろずっと上機嫌だよね」
「そう?まぁたしかにあまり不安定ではないかもだけど…」
一緒にいてテンションの高低差があったり、こちらが常に気を使って、相手の機嫌を伺わなければならない関係性は疲れる。イーブンでいたいし、一緒にいて楽しい人に限る。
― この先、もっと一緒にいれたらいいな。
素直に、そう思った。そして夕暮れ時にビーチサイドでシャンパンを飲みながら、僕は最終日のディナーで、あることを言おうと決意したのだった。
すっかり日が沈み、満天の星が輝いている夜空の下、ビーチサイドにあるカバナで特別なディナーを用意してもらった僕。
「わ〜素敵♡もう、夢みたい。本当に幸せすぎて…こんな楽しい時間、あるんだね」
目の前に広がるビーチから、心地よい波の音が聞こえる。ホテル側からは、陽気な歌声も聞こえてくる。そして、このフィジーという南国が醸し出す、柔らかくて優しくて、温かい雰囲気…。
「言うなら今しかない」、と思い、僕はこの旅で考えた結論を、思い切って伝えることにした。
「あのさ、由奈」
「なあに?」
「結婚しない?」
波の音が、より一層美しく聞こえてくる。テーブルの目の前に座る由奈の顔が、キャンドルのライトによって、より綺麗に照らされている。
「……え?今、なんて?」
「結婚してください、由奈ちゃん」
自分でも、こんなふうに思う日が来るとは思っていなかった。でも人は、決める時には決めるらしい。
何よりも、今目の前にいる由奈を、一生大事にしたいと、この旅行を通してごく自然に思え、そして離したくないなと思った。
2泊5日という短くて、長い時間。きっと、日本にいたままだと決断できなかったかもしれない。
この空気が背中を押してくれたのか、美しい自然とビーチがそうさせたのか…。一つ言えることは、「ありがとう」ということだった。
「うん、もちろん。結婚しよう、蓮」
「良かった。とりあえず…乾杯する?」
思いっきり泣いている由奈の涙を拭いながら、僕たちは笑顔で、この忘れられないフィジー旅行にもう一度乾杯をした。
◆
もし結婚を迷っているならば、絶対に、一緒に旅行をしたほうがいい。日常生活では見えてこないことが、浮き彫りになるから。
そして、お互いの本当の相性も確認できるし、一緒に暮らした後の生活も、想像できる。
僕としては、本当に、今回の旅へ行って良かったと思っている。
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