◆ネトラレ作品で夫への想いを口に

松坂:もちろんです!「夫に見てほしいんです」と監督に話したら「つぐみちゃんの本心のセリフを入れよう!」と言ってくれて。ネトラレもののデビュー作では、自分の気持ちを素直にセリフにしています。
——実際、見せることもあるんですか?
松坂:見せてみても「セリフが棒読みだね」とか言って、ゲラゲラ笑われたりして。さすがに性的なシーンを見せるのは抵抗があったんですが、試しに見せてみたら、喘いでる私を見て笑ってましたね。「なんでやねん」とか言いながら。
——ちょっと予想外の反応ですね。
松坂:ほんと、一番変な人だと思います。常連の飲食店やシーシャ屋とかでも、「つぐみさんも変わってるけど、一番変なのはご主人だよ」って意見がよくでますよね。私もそう思います。今の関係も、出演も、よく許せたなって。
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お互いに異性との関係を自由に認め合うという、一見すると特殊な夫婦関係。そんな中でも松坂さんが、飾らず穏やかに語る姿が印象的だった。夫婦として長く関係を続けていくためには、世間の“正解”をなぞることよりも、互いが心地よくいられるバランスを保つことのほうが大切なのかもしれない。
夫婦のかたちは一つではない——。松坂さんの生き方は、その当たり前の真実を静かに教えてくれているように感じた。
取材・文/福永太郎
【福永太郎】
1988年東京生まれ。ライター・編集者。俳優、スポーツ選手、芸人などの著名人から、メーカー担当者や経営者まで幅広くインタビューを担当。家電専門メディアにてレビュー記事執筆も手がける。

