住宅・車など大きな買い物への影響は?「駆け込み需要」も注意
過去の消費増税前には、住宅や車といった高額商品の駆け込み購入の動きがありました。今回はまだ増税が決まったわけではありませんし、むしろ減税も検討されています。そういう点では消費税を基準に大きな買い物をするのではなく、あくまで各人が今後の生活設計や計画にそって購入するタイミングを判断することが賢明です。
ただし、住宅や車は消費税率によって購入総額が大きく変わるため、今のうちに正しい知識を身に付けておきたいところです。例えば住宅の場合、建物は課税対象ですが、土地は非課税となります。よって利便性の高い地域でのマンションは購入額のうち敷地分、つまり土地の占める割合が高いため、それほど増税や減税の影響を受けない可能性があります。
過去においては、消費増税前の駆け込み需要の反動から、増税後に高価な商品やサービスが売れなくなり、それに伴い値下げが行われ、増税前よりも安く購入できるというケースもありました。
また、税金は消費税だけではありません。住宅については固定資産税、車も自動車税など他の税金も制度が変わる可能性があります。消費税のみならずこのような税金についても「制度改正は予定されていないか?」など動向をチェックするのも上手な買い物の仕方に繋がります。
FPが提案する家計防衛策とは?

今回は消費税が15%となった場合を視野に入れましたが、消費税増税に限らず私たちの支出負担は今後も増していく可能性があります。例えば社会保険料もその1つです。健康保険料や介護保険料などの負担が以前よりも随分と大きくなったと感じている人も多いと思いますが、今後もその流れは続きそうです。
さらには物価上昇も私たちの支出負担の大きな影響となります。物価上昇の要因の1つが「円安」です。日本は資源や食料など海外からの輸入に大きく依存しています。円安が進めば、その分が価格に転嫁され、どんどん身の回りの品の値段が上昇します。
外国為替の影響をほとんど受けない商売もあります。ただし、身の回りの商品の値上げにより、その商売に従事するスタッフそれぞれの生活が厳しくなります。そのため、そのスタッフの賃金を上げなければならないとなると、結果的にその商売が提供する商品やサービスの値段も上げなければなりません。このように様々な分野で現在値上げが行われています。
物やサービスの値段が上がるということは「お金の価値が低下している」ことを意味します。1万円の額面はそのままでも、来年、再来年と物やサービスの値段がどんどん上がればその分だけ1万円というお金の価値は低下していっているのです。将来、「1万円が今の8000円程度の価値しかない」という状況も想定されます。よって、増税なども考慮し、お金の価値を維持するためには資産運用が重要ということになります。
物価が1年間で2%上昇しても、その分、株式や投資信託、外貨などの資産運用でリターンを得ることができれば、資産の価値を維持することができます。もちろんすべてのお金を運用に回す必要はありません。預金など安全資産も重要です。
よって安全な資産と積極的に運用する資産に分けて、例えば安全資産50 %(年平均利回り0%想定)、積極資産50%(年平均利回り4%想定)を持っていれば年間2%の利回りとなり、物価上昇に負けなかったことになります。
「株はこわい、リスクを取りたくない」という人もいますが、「何もしないこともまたリスク」という時代に突入しています。もちろん資産運用にはリスクはつきものですが、防衛策という見方をして、基本的なところから学び実践してみるのはいかがでしょうか。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします
