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空前のブーム・ドバイチョコレートの原点 「FIXデザートショコラティエ」の創設者に聞く

空前のブーム・ドバイチョコレートの原点 「FIXデザートショコラティエ」の創設者に聞く

2023年末からTikTokを中心にSNSで投稿が拡散し、ドバイチョコレートは、またたく間に世界中で話題となりました。ブームのきっかけとなったのが、「FIX Dessert Chocolatier」によるチョコレート「Can’t Get Knafeh of It」です。

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「Can’t Get Knafeh of It」

「Can't Get Knafeh of It」の特徴は、とろりとあふれるピスタチオフィリングと、中東の極細麺状の生地であるカダイフのザクザクとはじける食感。このチョコレートがいつしか「ドバイチョコレート」と呼ばれるようになり、今では世界中で同じタイプのチョコレートが作られるようになりました。

ドバイチョコレートのルーツ・FIXのインタビュー1
FIX Dessert Chocolatierの設立者 サラ・ハムーダさん〈〉とイェゼン・アラニさん〈

──FIXの生まれた経緯を教えてください。

FIX Dessert Chocolatierは2021年にドバイで生まれました。最初は自宅からのスタートで、イェゼン(共同設立者のイェゼン・アラニさん)と私はダイニングルームを製造用キッチンに改造し、夜遅くまで試作を重ねました。今はキッチンとオフィスに25人のチームを抱え、サプライヤーからSNSチームまで、情熱的で才能ある仲間がFIXを支えています。

──今もチョコレートはハンドメイドですか?

FIXのチョコレートバーには、必ず手作業の工程があります。同じ見た目のバーはひとつもありません。多くの需要に応えるため、生産を拡大する方法を模索していますが、まずは「丁寧さ」を大切にしています。

──FIXとはどういう意味ですか?そして、大切にしていることを教えてください。

FIXは「Freakin’ Incredible Experience(最高にすごい体験)」の略です。五感を楽しませるプレミアムスイーツを目指し、最高品質の素材を選びます。包み紙を開ける瞬間の感触、ひとつひとつ異なるデザイン、そしてリッチなフィリングにかぶりつくとき──そのすべてが体験です。代表作の「Can’t Get Knafeh of It」がよく知られていますが、私たちが届けたいのはチョコレート以上のもの。味や記憶、人とのつながりです。

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パッケージデザインやネーミングは主にイェゼンさんが担当 (市川歩美撮影)

──「ドバイチョコレート」という呼び名がいつしか生まれ、定着しました。このことをどう思いますか?

私たちが考えた名前ではありませんが、ドバイでしか手に入らないことから、オンラインでそう呼ばれるようになりました。「Can’t Get Knafeh of It」が新しいカテゴリーを生み出したことは光栄です。イギリスやアメリカ、日本など世界中のショコラティエが中東のフレーバーに挑戦しているのを見るのは、とてもうれしいことです。

──私は「ドバイチョコレート」から、さまざまな文化や感性が共存する「ドバイそのもの」を感じます。

そのとおりです。発想も製造も、すべてがドバイから始まりました。私が目指したのは「安心感があってほっとするのに、同時に思わず立ち止まってしまうような特別さがある」ようなプレミアムスイーツ。ドバイは常に境界を押し広げ、忘れられない体験を生み出す都市です。FIXも同じで、中東のお菓子や幼少期の思い出を現代的に再解釈し、新しい食感や体験を作り出しています。FIXは、ドバイの創造性・多様性・野心を映しだす存在です。舞台がドバイだからこそ、生まれました。

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──創業者のおふたりはイギリス、エジプト、イラクにルーツがあります。その文化的背景はチョコレートづくりに影響していますか?

大きく影響しています。フレーバーは私たちのルーツから着想を得ました。家族の文化に「Hospitality(おもてなし)」「Indulgence(自分をぜいたくに楽しませること)」「Celebration(お祝い)」が深く根付き、それを新しい形で表現しています。「クナーフェ」や「バクラヴァ」のような中東のお菓子を初めてチョコレートで味わう人々の反応を見るのは、本当に楽しいですね。FIXはアラブ首長国連邦で育ち、コミュニティに支えられて成長しました。

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チョコレートバーには美しいデザインが施されている

──現在レギュラー商品はいくつありますか?

10種類あります。代表作の「Can’t Get Knafeh of It」(ピスタチオとタヒニ入りクリスピー・クナーフェ、ミルクチョコレート)、中身は同じダークチョコレート版「Can’t Get Knafeh of It」(ダークチョコレート72%)。

ほかにも「Mind Your Own Buiscoff」(ロータスチーズケーキ、ホワイトチョコレート)、「Catch Me If Pecan」(キャラメリゼピーカンナッツ&ビスケット、ブロンディチョコレート)、「Pick Up A Pretzel」(クナーフェ&塩キャラメルプレッツェル、ミルクチョコレート)、「Baklawa II The Future」(焼きバクラヴァ、ミルクチョコレート)などがあります。

限定フレーバーも手がけ、この夏は「Time to Mango」を発売しました。マンゴーとパッションフルーツにポッピングキャンディを加えた、懐かしくてリッチな組み合わせです。

──ドバイを訪れる日本の旅行客、日本のチョコレートファンにメッセージをお願いします。

FIXはいま、ドバイとアブダビで「Deliveroo」というショッピングアプリからチョコレートを販売しています。ぜひドバイに来て、FIXが生まれた場所で味わっていただきたいですし、日本へ持ち帰り、友人や家族とシェアしていただけたらうれしいです。これからも新しいフレーバーを生み出していきますので、どうぞ楽しみにしていてください。

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カラフルなパッケージを、見て、手にしただけで元気になる(市川歩美撮影)

FIXのチョコレートを「Deliveroo」で注文、購入してみました。ずっしりと重みのある200グラムのチョコレートが、カラフルなパッケージに包まれ、手にした途端に気分が上がります。ひと口かじれば、濃厚なフィリングとチョコレートが調和。甘くて美味しい、笑顔になれるチョコレートです。1日の販売数が決まっていて、早い時間で売り切れることも多いようですが、ドバイへ行ったらぜひどうぞ。ホテルに届けていただくこともできます。

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配信元: marie claire

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