◆白ごはん特盛りとミニ香味唐揚げを頼んだワケ
もしも、ただ腹いっぱい食べるのが目的であれば、連載1回目の日高屋ではチャーハンの大盛りを2つ頼んでいただろう。確かに腹は膨れるが、それでその店を堪能できるかと言ったら、そうではない。むしろ、損をしている。別にはなまるうどんや丸亀製麺でうどんを頼まず、ご飯単品だけを注文して、無料の天かすをトッピングし、卓上のソースをかけて「これが最適解だ!」と言いたいわけでもない。その辺は、しっかり読者にも理解していただきたい。

チキン南蛮定食であれば、唐揚げを追加するのは「鶏かぶり」になる。300円台のサイドメニューであれば、かぼちゃコロッケ、肉じゃが、ひんやり豆腐サラダなどもある。
ただ、筆者は別に野菜が食べたいわけではない。あくまでも必要なのは「米のおかず」だ。その点、唐揚げという食べ物は非常に便利だ。一口サイズになっているため、その倍の米を口の中に放り込めばいい。それが3つもあるのだから、唐揚げを選ばないという選択肢はないだろう。
◆生さんまで「食の旬」を感じる

同じ魚であればミニさばの炭火焼きにしておけば2000円に収まった。しかし、今いる客の半数はさんまを食べている。だったら、筆者も食べないわけにはいかない。
結論から言うと、生さんまを頼んで正解だった。普段、なんとも言い難い野菜炒めばかり食べている筆者は、「食の旬」というものがわからない。というのも、野菜炒めはパックに入ったカット野菜を、フライパンで肉と一緒に炒めているだけだからだ。
しかし、生さんまは確かに「今が旬」だということを、食べているうちに十分理解できた。身も分厚く、秋にしか食べられなかった「懐かしさ」も味わえた。
仮に家のグリルで焼いても、このクオリティにはならなかっただろう。どうやら、しばらく、また自炊キャンセル界隈に戻りそうだ。

<TEXT/千駄木雄大>
―[「チェーン飯」を2000円で爆食い]―
【千駄木雄大】
編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。出版社に勤務する傍ら、「ARBAN」や「ギター・マガジン」(リットーミュージック)などで執筆活動中。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)がある

