◆穏やかな車内に迷惑すぎる親子が登場

「僕は窓際の席で外の景色をぼんやり眺めていたんです。穏やかな車内の空気は、次の駅で乗り込んできた親子によって一変しました」
通路を挟んで隣に茶髪で派手な格好の母親と、小学校低学年ほどの男の子が座った。男の子は流行中のアニメキャラのTシャツを着ており、席に座るなり大声で騒ぎ始めたという。
「ママ、スマブラやっていい?」
「はいはい、いいけど静かにしなさいよ」
母親はそう言いながらも、視線はスマホに釘付けだった。口先だけの、全く意味のない注意だった。
◆「雑魚すぎー!」ゲーム音とともに響く“実況”
「男の子はリュックからNintendo Switchを取り出すと、イヤホンも使わずにゲームを始めました。大音量のBGMと派手な効果音が車内に響き渡って、それだけでも十分うるさかったのですが……」もっと迷惑だったのは、彼の「実況」だったという。
「弱いって! アイテムゲットしちゃうって!」
「はい、ここでメテオドーン! 雑魚すぎー!」
有名なゲーム実況者の話し方をそのままマネしているようだった。周囲の乗客から冷たい視線が刺さっているのに、母親はスマホに夢中で息子を止める気配はなかった。
佐藤さんは我慢の限界を感じていた。注意すべきか迷いながら親子を横目で見ていた。
その瞬間だった……。

