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兄が孤独死したマンションで、弟も孤独死…残された高齢姉に降りかかった、複雑怪奇な相続問題【司法書士が解説】

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相続放棄の申述期限はとっくに過ぎていて…

千恵さんに対して、できることはなんでしょうか?

今回亡くなった大輔さんについては相続放棄が検討できます。とりあえず相続放棄をしてしまえば、目先の100万円の滞納金からは逃れられるかもしれません。

しかし、千恵さんは5年前に亡くなったきょうだい・洋介さんの相続時に、死亡の事実や財産の状況を知りながら、相続放棄の申述を選択していません。通常なら、千恵さんによる、5年前に亡くなった洋介さんの相続放棄の申述は、認められない可能性が高いでしょう。

この不動産の登記簿上の名義人は未だに、5年前に亡くなった洋介さんと、15年前に亡くなった洋介さんの妻の雪乃さんです。洋介さんの相続について、千恵さんの相続放棄の申述期限はとっくに過ぎています。

そのため、今回亡くなった大輔さんの相続放棄をして、目先の滞納金は逃れられたとしても、マンション自体の登記の義務や管理責任について、責任は負ったままになります。

一方で、マンションの管理組合としても未納金を回収できないので、問題の解決になりません。

その後、筆者は管理組合や管理会社からも連絡を頂き、相談を受けることになりました。

きょうだいの亡き配偶者の相続人は「合計13名」

このケースを解決するには、熟慮期間内中に「兄嫁の相続人」を探すしかありません。

そこで筆者は、千恵さんと管理組合と双方から話を聞いた結果、とりあえず下記のように進めてみることにしました。

①千恵さんはまず、大輔さんについての「相続放棄の熟慮期間の延長」を申述する。

②そのあいだ、管理組合の費用立替負担で、亡き洋介さんの妻、雪乃さんのきょうだいや甥姪を探す。

相続放棄の熟慮期間の延長は、相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月内に相続の承認か相続放棄を決めることができない場合、家庭裁判所に申立てることにより、この3ヵ月の「熟慮期間」を延ばすことができます。

延長期間は稀に6ヵ月を認められることもありますが、筆者の事務所で申請を出したケースでは、裁判所としての判断は概ね3ヵ月のケースが多いように思います。

千恵さんのこの熟慮期間内に、15年以上前に亡くなった兄嫁の雪乃さんのきょうだいを探さなければなりません。

もちろん、連絡先がわかったところで、相続の手続きに協力してくれる保証はありません。しかし、問題の根本解決にはこの方法しかありません。筆者も最優先の案件として取り組みました。

結局、雪乃さんの相続人である半血のきょうだいは5人全員が亡くなっており、その子どもは合計13名でした。

速達などの郵便をやりとりして合計13名の相続人すべてと連絡が取れたのは、大輔さんが亡くなってから5ヵ月後です。そして、この13名全員が雪乃さんと会ったことはなく、亡くなったことも知りませんでした。そもそも叔母にあたる雪乃さんの存在すら知らない方もいました。

今回は奇跡的に、13名全員が相続の手続きや相続放棄の手続きに協力してくれたため、不動産の名義は下記のように登記をすることができました。

洋介・雪乃夫婦の共有

  ↓

亡 洋介単有(雪乃さん持分の移転)

  ↓

千恵と亡 大輔共有(法定相続分での登記)

  ↓

千恵単有(大輔さんの持分移転)

今回、この登記ができたのは、本当に奇跡としかいえません。この後、千恵さんは不動産を売却し、大輔さんの管理組合への未納金や今回の手続き費用の支払いを完了することができました。

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