「ごちゃまぜ」にすることで人と人との交流が生まれ、災害関連死を防げる
「コミセンBASE」で働くスタッフの皆さんの話を聞いて、地域住民との間に強いつながりが生まれていることを感じました。それこそが雄谷さんの大切にしていること。「コミセンBASE」を中心に生まれた人と人との絆は、復興を推し進めていく力になっていくはずです。

改めて、雄谷さんに、復興で目指す姿についてお話を伺います。
――「コミセンBASE」ではまさに「ごちゃまぜ」が実現されていますね。
雄谷:私は長年福祉業界に身を置いてきて、社会的に排除されるような人たちを目の当たりにしてきました。同時に、佛子園の活動を通して、そういった排除されるような人たちが地域と関係を持ったことで元気になっていく姿も見てきました。だから、地域を活性化するには「ごちゃまぜ」が重要だと訴えかけているんです。
人が人と交わることで元気になるだけではなく、そこには自然と手を取り合って協力し合う支援が沸き起こります。昔はそれが当たり前でした。例えば、ご近所さんとの間に「ちょっとだけうちの子を預かってくれない?」といったやりとりが発生していましたよね。でも、時代が変わり、そういったやりとりは無くなってしまいました。
でも、これから先の時代、昔ながらの助け合いが必要になってくるはずです。それは被災地に限った話ではなく、どんな地域においても、です。そもそも社会保障に対して潤沢な資金が用意されている時代ではないので、人と人とが助け合わなければ生きていけないんです。
――そうやって助け合うことで孤立や困難を防げることが「輪島KABULET」や「コミセンBASE」を取材して、改めて理解できました。
雄谷:そうですね。被災地でいうならば、災害関連死を減らせると思います。東日本大震災や熊本地震の時と比べても、能登半島地震の災害関連死の割合は減少傾向にありますから。
ただ、残念ながらそれを数値として証明することは難しい。被災地で生き残った人がいて、その人がどうして生き延びることができたのか、例えばそこに「見守り」がどれくらい寄与したのかは証明できないんです。
だから、災害関連死を防ぐために「コミセンBASE」がどれくらい役立っているのかは証明できないんですが、私たちは評価してもらうために活動しているわけではないので、自分たちの活動を続けていくことが地域の復興につながると、信念を持って取り組んでいます。

――今後の目標や展望はありますか?
雄谷:「コミセンBASE」を全国的な福祉モデルとして展開していくことです。
仮に地方の中山間地域に展開できれば、万が一そこで震災が起こったとしても、すぐに対応できますよね。高齢者の方が頼れる場になって、それ以外の人たちも集まれる。見守り機能もあるし、働ける場として雇用も生まれる。そんなふうに「起こったときに駆け込める場所」として「コミセンBASE」が全国に広まるように尽力していきます。
「コミセンBASE」のスタッフが考える、被災地の復興に私たちができること
「コミセンBASE」で働きながら、日々、輪島市の被災者たちと関わるスタッフの皆さんに、被災地が1日も早く復興するために、私たちにできることを教えてもらいました。