ジャーナリストの岩田明子氏は、高市政権は“選挙のための内閣”ではなく、“政策実現のための内閣”であると、期待をにじませる。(以下、岩田氏の寄稿)。
◆連立文書と組閣人事、所信表明演説に見える“働く内閣”の全貌と課題

そもそも、維新との相性がいい。自維連立は、実るべくして実った果実だからだ。
両者の関係は自民党が野党時代の’12年から始まった。第一次政権からの復活を模索していた安倍氏を、維新の松井一郎氏と橋下徹氏が「一緒に新党をつくろう」と口説いたことがきっかけだった。“安倍新党”構想は幻に終わったが、その関係性が菅偉義元首相や森山裕前幹事長らを窓口にして一層深まっていったことを考えれば、高市氏と吉村洋文維新代表が共鳴し合うのも何ら不思議ではない。
◆赤沢氏を経産大臣に据える人事は絶妙
組閣もうまくこなしたと言っていいだろう。“身体検査”を経て、組閣当日の午前中に一部の人事が入れ変わったのを見るに、連立協議に追われながらも慎重に練られた人事だったことがわかる。なかでも、石破政権で経済再生担当大臣を務めた赤沢亮正氏を経産大臣に据える人事は絶妙だ。総裁の座をともに争った面々を重要ポストに就けるだけでなく、石破前首相の右腕を重用することで“全員参加型内閣”を印象づけた。同時に、対トランプ関税交渉の継続性を持たせながら、その交渉過程で決定した日本の80兆円対米投資の責任を赤沢氏に負わせたのだ。
とはいえ、高市政権には課題も多い。一つは少数与党には変わりない点だ。吉村氏が「公明党はブレーキ役だったが、維新はアクセル役」と言ったところで、野党の協力を得られなければ政策は実現できない。秋の臨時国会で議員定数削減に向けた法案を提出して成立を目指すとしているが、こればかりは時間がかかる。来夏に公表される国勢調査を踏まえて、野党と協議しながら進めるのが現実的だ。さらに、第2次安倍政権のように、首相を支える強固なチームを作れるかどうかも高市氏の課題と言える。
ただし、政策実現を最優先にした政権になるのは間違いない。支持率に一喜一憂しながら解散の時期を探ることもないだろう。それは全8枚にもなる連立合意文書を見れば一目瞭然だ。自公連立政権時代の4倍にもなる詰め込み方だ。もちろん、どれだけ実現するかは定かでないが……“働く内閣”となる予感はするのだ。

【岩田明子】
いわたあきこ●ジャーナリスト 1996年にNHKに入局し、’00年に報道局政治部へ。20年にわたって安倍晋三元首相を取材し、「安倍氏を最も知る記者」として知られることに。’23年にフリーに転身後、『安倍晋三実録』(文藝春秋)を上梓。現在は母親の介護にも奮闘中

