
2025年秋、『パパと親父のウチご飯』(テレビ朝日)、『今日もふたり、スキップで』(Lemino)、『すべての恋が終わるとしても』(ABCテレビ・テレビ朝日系)と3本の連続ドラマに出演中の白洲迅さん。そのうち2本がW主演というフル稼働ぶりです。それぞれのドラマのこと、今、俳優という仕事について思うこと。白洲さんに聞きました。
めちゃめちゃ相性がいいと感じてます

豊田悠さんによる漫画作品をドラマ化した『パパと親父のウチご飯』。白洲迅さんは息子を育てるシングルファーザーで、漫画編集者の晴海昌弘を演じています。晴海は同じシングルファーザーで元ヤンキーの千石哲とルームシェアをしながら子育てに奮闘中、という役どころ。
「原作を読ませていただいてすごく好きな作品になりましたし、僕自身、第二子が誕生したばかりというタイミングでこうした作品のオファーをいただくのは運命というか巡り合わせだなと思っています。子ども役のふたりは、年齢のわりにしっかりしているのですが、子どもらしい瞬間もあって、遊びに夢中になっちゃったりすることも。でも、今回は親の役でもあるので、そうした1秒1秒が作品にとっての肥しになっている気がします」
父、父、娘、息子。シングルファーザー同士の共同生活とは、やや突飛な状況ですが、子どもが幼いうちは、大人の手があればあるだけ助かる面もありそうです。
「本当にその通りで。親と子どもが1対2になるだけでも大変ですよね。シングルファーザーふたりがお互いに助け合えるなら、素晴らしいことです」
千石を演じるtimeleszの松島聡さんとW主演の本作。白洲さんは、「めちゃくちゃ相性がいい」と感じているのだそう。
「聡がどう思ってくれているかはわかりませんが、僕は勝手に弟のように思っています。一緒にいて、精神的にとてもラクで。何より、彼は「誠実の権化」なんです。あんなに誠実は人はなかなかいません。何に対しても、誰に対しても誠実。芝居もそうで、間違いなく彼の武器だと思います。僕自身はどんなに仲のいい友達とでも、ルームシェアは難しいと思ってしまうのですが、彼とならいけるかも(笑)」
ドラマでは、子ども甘やかすのが晴海、叱るのは千石の役割。
「僕自身は怒りたくないほうだと思います。子どもに嫌われたくないですし(笑)。ドラマでも描かれますが、問題は怒り方ですよね。愛を持って、子どものためを思って、ちゃんと叱る。怒るって大変です。言葉だけでは伝わり切らなかったり、それでもダメなものはダメだと伝えなくてはいけないし。そうやって親も、子どもと一緒に成長していくんでしょうね」
漫画編集の仕事と真摯に向き合い過ぎて家庭を顧みず、シングルとなった心優しい晴海と、短気でケンカっぱやいけど情に厚くて家事が得意な千石。子育てと料理に奮闘するふたりの父親を軸にした温かいドラマが展開しています。
「ヒューマンドラマ+α、美味しい食事でほっこり幸せ、そんな温かいものを表現できたらいいなと思っています」
夫婦は違っていていい、そんな理想のふたり

同名エッセイを原案にしたドラマ『今日もふたり、スキップで』では、こちらもW主演の松村沙友理さんとほっこり夫婦を演じています。
「ひたすらに幸せで、特別な事件は起きず、大きなものを抱えているわけでもない。どこにもいそうな夫婦のお話です。彼らなりの‟事件”というのは『いびきがうるさい』『寝相が悪い!』と言い合うことだったりして、『じゃあ別々に寝る?』『それは嫌だ』みたいなやりとりが続く。なんてことのない日常が描かれています」
たとえばあるときは、「共通の趣味がないから」とお互いの趣味に触れてみようとします。
「ふたりは全然違うタイプで、価値観も異なる同士。奥さんが好きだというBL漫画を読んでみるけれど、感想が全然かみ合いません。でも、それでいい。違うからこそ続く関係ってあると思うんです。このふたりは、いびつなふたつのピースがぴたっと合致するような夫婦。でもそれが、夫婦として助け合えてるのかなって。違っていていい、そんな理想のふたりだなと」
3本目は、冬野夜空が旧Twitterに投稿した140文字の物語がベース。書籍化を経て、今回ドラマ化された『すべての恋が終わるとしても』。男女8人による人間模様を描くラブストーリーです。本作で物語の軸となるふたり、羽沢由宇を葵わかなさん、大崎真央を神尾楓珠さんがそれぞれ演じ、白洲さんは由宇が仕事先で出会う野北駿太郎を演じています。
「野北は仕事が完璧にできる男ですが、恋愛面に関しては難あり。上辺だけでちょっと付き合い、違うなと思って別れてしまう。それを繰り返して、実はちゃんとした恋愛をしてきていない人です。相手役の市川由衣さん演じる宮内郁子という人も、つかみどころのない自由な人で」
野北と郁子は恋人未満、もやっとした関係が続いています。
「お互いに依存する面もあるけれど、付き合っているわけではなくて。だから束縛したり、確信をつくようなことはなかなか言えない間柄。とくに野北のほうは、自分を押し殺してもいます。お互いに離れられない。でも、どこかリアルさを感じる関係だなと」
言葉ではっきりとは言えない、そんな男女の微妙な距離感を、白洲さんと市川さんでこつこつ作り上げる必要がありました。
「彼らの関係性はいわばグレー。そのシーンでどれだけ好きという感情を表情に出していいのか、出さないほうがいいのか、その調整が難しかったです。僕らふたりの結末は、わりと物議をかもすんじゃないかと。いまから、観てくださった方たちのリアクションが楽しみですね」

