◆ビジネスシーンでも“共通の敵”は有用

会社の不手際で顧客を怒らせてしまったとき、“会社側の人間”として謝罪するだけでなく「◯◯様のお気持ちを思うと心苦しいです。すぐに改善させます!」と顧客側に寄り添った方が、怒りが静まりやすくなります。
また、値引きなどの無理な要求をされたとき。「申し訳ございませんが、対応できかねます」とマニュアル通りに答えたら、顧客の不満は募るだけです。
「私もできる限り対応したいので、本部に掛け合ってみます。でもルールが厳しくて…」と、会社のルールを“共通の敵”にする構図をつくるのです。
要望に応えられないという結果は同じでも、少しでも「自分のことを思ってくれた」と感じられれば、顧客の心証は180度変わります。
社内の人間関係でも、たとえば部下が上層部に不満を抱えているとき。
「悪いけど、会社の方針だから」と突っぱねるのではなく、「私もなんとかしてあげたい。でも、会社の方針があるから難しいんだ」と伝えれば、会社の方針が“共通の敵”になり、部下は「上司は味方でいてくれている」と気持ちが救われるでしょう。
◆相手の気持ちに向き合ってはいけない
恋愛でも同じです。デートの夜に「ごめん、仕事で会えなくなった」と事実だけを伝えるよりも、「俺も会いたいけど、残業を頼まれちゃって…」と言ってあげた方が、会いたい気持ちは同じなのだと伝わります。ここでは、仕事が“共通の敵”ですね。女性は「お仕事なら仕方ないよね、がんばってね」と素直に受け入れられます。大切なのは、相手に正面から「向き合う」のではなく、隣に「寄り添う」イメージです。
相手の気持ちに寄り添い、“共通の敵”をつくることで、トラブルは瞬時に好転するのです。
<文/山崎みほ>
―[経済レポーター×銀座No.1ホステス・山崎みほ]―
【山崎みほ】
経済レポーター。証券外務員一種/行動心理士。 株式投資情報のレポーターとして、上場企業の取材記事や経済ニュースを執筆。Yahoo!ファイナンス、YouTube等メディアでは上場企業社長のインタビューも行う。また、銀座の高級クラブでホステスとしても勤務、心理学と行動経済学の知識を基にNo.1を獲得。経済レポーターの深い洞察力と人気ホステスとして培った対人関係術を融合し、夜の世界では1日40組、昼間の営業職では成約率90%の成績を上げるなど、昼夜問わず結果を出すスタイルを築いている。Xアカウント:@mihoy001

