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「新NISAは“老後の資産形成”に向いていない」10億円投資家が力説するワケ。サラリーマンに有利な投資とは

「新NISAは“老後の資産形成”に向いていない」10億円投資家が力説するワケ。サラリーマンに有利な投資とは

―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―

東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開。現在、38戸の物件を所有し、時価資産額約10億円、年間家賃収入約4000万円の個人投資家・村野博基氏。注目されている新NISAは「あくまで制度で使い方次第。必ずしも無理してやる必要はない」と言います。また、「サラリーマンがまず投資をするなら、新NISAよりもiDeCoが向いている」と語ります。村野氏の非課税投資制度に対するスタンスについて聞いていきます

(本記事は、『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』より一部抜粋、再編集したものです)

老後の資産形成
写真はイメージです

◆新NISAはあくまで非課税制度。投資を「勝ち」にしてくれる制度ではない

政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、投資における税制優遇制度を整備しています。投資に関心があるみなさんにとっても注目度が高く実際に活用している方も多いのではないでしょうか。

巷では新NISAでオルカンと呼ばれる全世界株式の投資信託や、米国株を代表するインデックスS&P500に連動する投資信託を買うのが流行っていると聞きます。しかし、私自身は新NISAでの積み立て投資や成長枠投資は行っていません。自分自身が考える投資のセオリーとは異なるためです。新NISAは「絶対に行うべき投資」という位置づけではないと考えています。

そもそも、私が大事にしている資産形成における大切な方程式は下記です。

Z=a(X-Y)+b

Zは「資産」、Xは「収入」、Yは「支出」で、aは「時間」でbは「資本(貯蓄)」です。大事なのは「X-Yの(収入-支出)がプラス」であること。新NISAでの投資リターンは結局のところ時間に係る「収入」ではないため、bである貯蓄の部分に当たります。

全世界株や米国株での積み立て投資は長年行っていけばプラスになる可能性が大きいいでしょう。実際にオルカンやS&P500も10年前よりも上昇して良いパフォーマンスを出しています。ただ、これまでの投資がプラスだからといって今後がどうなるのかは未知数です。これからも全世界株式もアメリカ株が順調に上がるとは限りません。

◆インフレヘッジを考慮すると…

同時に日本でも鮮明になってきたインフレを考慮する必要性が出てきます。

いくら指数に連動するインデックスファンドが10%値上がりしていたとしても、インフレ率が10%であれば実質的な価値は変わりません。インフレ下では物価の上昇以上に投資先の金融商品が伸びなければ、投資した資産は実質目減りしてしまいます。数年前までお米5kgが2000円台だったのに、昨今では4000円台が当たり前になった状況を考えてみても、インフレによる資産の目減りが実感しやすいのではないかと思います。

極端な例ですが「お米を5kg手に入れることに対する対価」と考えると、数年前の2000円は今の4000円分の価値があります。もしこのケースに備えて投資をするならば、2000円が2倍になっていないと収支はトントンにはなりません。

さらに「いつ使うか」という点も考慮する必要があります。多くの方は老後資金のために新NISAで積み立てるわけですが……。売却するときの出口をみなさんはどう考えているでしょうか。

「今の1万円と10年後の1万円は同じ価値か」を考えてみましょう。この問いは「運用して増やすから同じ価値ではない」という話ではありません。今1万円で購入できるものが10年後に同じ金額で購入できるのであれば同じ価値だと考えるものとします。この問いへの回答は「その時の経済状況に左右されてしまう」です。

現在と10年前を比べたら、1パック100円台も珍しくなかった卵は今や1パックの平均価格は300円台です。お菓子やパンも値段は据え置きでも量やサイズが減っていたりします。一方でPC機器などは同スペックでもこの10年間で恐ろしく安い値段になっていたりします。

10年後の未来を正確に見通すことのできる「人」は恐らくいません。結局新NISAで積み立て投資をしても売却したタイミングの経済状況と使用用途によって価値が変わります。そのため「インフレヘッジのための貯金」としては機能するかもしれませんが、あくまで「Z=a(X-Y)+b」におけるb(貯蓄)のプラスアルファにしか過ぎないと考えています。


配信元: 日刊SPA!

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