東京23区の中古ワンルームマンション中心に不動産投資を展開。現在、37戸の物件を所有し、時価資産額約10億円、年間家賃収入約4000万円の個人投資家・村野博基氏。2人の子どもを育てている村野氏は「子どものマネーリテラシーをどう育てるか」という観点でもユニークな方法を取っていました。お金を使うこと、消費のマネーリテラシーを磨くための方法を村野氏が語ります。
(本記事は、『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』より一部抜粋、再編集したものです)
◆子どものマネーリテラシーはどう鍛える?

子どものマネーリテラシーはどう鍛えるべきか? 私の持論はまずは「お金を使う感覚を身につけること」だと思っています。お金は実際に使うことで、自分自身の快・不快が見えてきます。実際にお金を支払ってその対価を得たときに、初めて「支払った対価に見合っているか」を肌感覚として理解できるのではないでしょうか。
もちろん本当の意味では、使う前に自分で「稼いでお金を得る」ことが必要ですが……。義務教育中は子どもが働くのではなく、その時々に経験できることをして欲しい。ですから、村野家では子どもたちが小学生の頃から「年齢×月400円」を毎月おこづかいとして渡すようにしていました。これは、岩下桂子さんの『かしこい子どもを育てるおこづかいトレーニング』(学習研究社刊)の岩下式おこづかいを実践した形です。
◆おこづかい額は年齢×月400円
年齢×月400円の方式だと、6歳ならば月2400円、12歳ならば月4800円、15歳ならば月6000円です。小学生の月のおこづかい平均額は500~1000円くらい、中学生のおこづかいの月額平均は2000~3000円程度です。「周囲の子どもよりもかなり多いのでは?」と思われる方もいるでしょう。しかしポイントは額ではなく、渡したおこづかいを「どう使うか自分で考えて決める」ことです。ですから遊びに行ったときのアトラクション代も、気に入った文房具を購入するのも、外出時の「買い食い」も、お金を出すか出さないかを自分で判断させました。また通常は親が出すのが当たり前であろう給食費も、一部は子どもたちのおこづかいから出させていました。時折「お手伝いをしたら50円」という形で追加のおこづかいもありましたが、基本的には「年齢×月400円」の範疇で子どもたち自身がやりくりをします。
こんな方式を取ったのには、早い内から「何かを得るためには対価を払う必要があること」「自分で主導権を持って決めること」「制限のなかで工夫すること」を理解して欲しかったから。そして、「物の値段や価値をどう判断するか」というリテラシーを身に付けて欲しかったためです。
どんな商品やサービスでも、得るためには対価を支払う必要があります。そして、それを購入するか否かを自分以外に決めさせるのは悪手です。自分にとって「何かを買う」のは、同時に「何かを諦めて買えなくなる」ことでもあります。それをまず理解しなければなりません。当然、買えないことは苦痛にもつながります。でも、そのとき他責思考では改善の創意工夫は産まれません。「自分で決断して買った」という主導権を持って行動した経験がどうしても必要なのです。同時に「無駄なものを買ってしまった……」という後悔と、それに対して反省することを早く経験して欲しいとも願っていました。

