◆おこづかいを渡す代わりの条件とは
一点だけおこづかいを渡すにあたっては条件を付けていました。それは「おこづかい帳」を付けること。もらったおこづかいを何に使ったのか、複式簿記に近い形でのおこづかい帳に記入することが条件です。おこづかい帳があれば月々何に使っていたのかが振り返って見えるようになります。おこづかい帳は「自分がどう決断したか」によって変わる行動の履歴でもあるわけです。仮に「何に使ったのか分からない……」という、いわゆる使途不明金があっても、その事自体を認識していればおこづかいは渡していました。
◆「おこづかい帳」で無駄遣いの浪費がわかる
なぜ帳簿を付けることを条件にしたかと言えば、子どもたち自身で「何にお金を使ったか」をちゃんと認識して欲しかったためです。本人が価値を感じないモノやコトに対してお金を支払うのは「浪費」です。自分自身でもお金を使う中で、何が必要で何が無駄かは人それぞれであり、その人が実際に使ってみないと分からない……というのが私自身の持論。だからこそ小学生の頃からお金の使い方で、「何が必要で何が不要かを考えて欲しい」。それがこのおこづかい制度のねらいです。
正味なところ、子どもたちの帳簿を見ていると「ポケモンカードの購入費」や「GSM内のゲームセンターでの交遊費」「自販機のジュース」などの項目があり、気になる点がないわけではありません。「うちに帰ってくればすぐにジュースが飲めるのに、何でこのタイミングで買う!?」と思ったこともしばしば。このおこづかい制度を始めた最初のうちは、毎月すぐに散財していました(笑)。
とはいえ、私は子どもたちにおこづかいを渡した以上は「何に使っても構わない」と考えています。お金の使い方で、将来どうなるのかは子どもたち次第。使い方は教えられるものではなく、自分自身で気が付かない限りは一生身につかないモノだと思っています。親ができることといえば、大変寂しくて残念なのですが「子どもが考えられる環境を提供すること」ぐらいなものです。
「年齢×月400円」という金額は子どもには大きなお金ですが、同時に金額の制限があります。「その制限のなかでどう工夫するか」も大きなポイントです。例えば、遊園地で1日遊びたいと考えても子ども用のチケット費だけで3000~4000円かかるもの。しかし数か月ほどお菓子やゲームを買うのを我慢して貯めれば、その金額は自分たちのおこづかいで準備できるのです。欲しいモノやコトを実現するための道筋を考え、スケジュールを組み、実行する。この一連の流れを知るのは「生きていく上できっと役に立つだろう」とも考えていました。
改めてですが、大事なことはおこづかいの金額の多寡ではなく、「何に使ったのか?」を意識すること。そのお金を「自分が決めて」、使って「どんな価値が得られたのか」を考えることです。大人たちもこの点に立ち返って考えてみると、自身の「浪費」を制限できるかもしれません。
<構成/上野 智(まてい社)>
―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)

