海外でも進む「脳の健康」への意識改革
欧州では、認知症当事者で国際的な認知症大使として活動するアイルランドのヘレン・ロックフォード=ブレナン博士が、早期診断の重要性を訴えて活動中だ。「診断は人生の終わりを意味しませんでした。むしろ、啓発活動や執筆、啓発プロジェクト創出という新たな目的を見出すきっかけとなったのです」

米国では「Brain Health Matters」という全国規模の啓発キャンペーンが展開され、認知症を“脳の健康”という視点で捉え、予防的ケアを健康管理の一環として定着させる動きが広がっている。映画出演を通じて認知症に関心を持ったジュリアン・ムーアも参加し、こう呼びかける。「自分の脳の健康に責任を持つことが、人生を自由に、意味のあるものに保つカギだということ。早期対応がどれほど大切かを見てきたからこそ、私は皆さんに、医師との定期的な対話を通じて脳の健康を優先してほしいと願っています」
「自分ごと」として向き合う時代へ
今後、当事者数がさらに増加すると予測されている認知症は、誰もが「自分ごと」として考えるべき状態だ。「また、にしない。まだ、にしない。」という合言葉は、認知症に立ち向かう第一歩を、誰もが踏み出せる社会を目指すメッセージでもある。自分らしく生きるために、そして大切な誰かを守るために、今こそ早めの一歩を踏み出してほしい。
