いつまでも輝く女性に ranune
住民票を抜き、保険証を返し、マイナンバーカードを失効させ…53歳、貯金250万円で日本を去ったバツイチ女性が「たどり着いた場所」

住民票を抜き、保険証を返し、マイナンバーカードを失効させ…53歳、貯金250万円で日本を去ったバツイチ女性が「たどり着いた場所」

50代は、人生の終盤戦ではありません。それは、あらゆる役割から解放され、初めて「自分のためだけの時間」を生きる、第二の人生のスタートラインかもしれません。本記事では、『自由で、明るく笑って過ごす スペイン流 贅沢な暮らし』(大和出版)より、53歳で単身スペインに渡り、学生としてゼロから人生を再構築した著者Rita氏の留学のスタートラインをご紹介します。

お金なし、コネなし、語学力なしからのスタートだった

出所:『』 出所:『自由で、明るく笑って過ごす スペイン流 贅沢な暮らし』(大和出版)

「まさか私が、海外で暮らすことになるなんて」。

そう思ったとき、私の手元にあったのは、わずかな貯金と、「変わりたい」という小さな決意だけでした。「お金なし、コネなし、語学力なし」という、何もないところからのスタート。それでも、何もしないまま終わってしまう人生のほうが、私には怖かったのです。

まず「お金なし」について。

離婚後、私は数種類の仕事を掛け持ちし、必死に生活を保っていました。子どもたちが社会人になってから、ようやく貯蓄を始められたものの、大きな額の蓄えはありませんでした。それでも留学費用を捻出するため、保険は崩せるものをすべて解約し、洋服やバッグ、書籍に至るまで、家にあるほとんどの生活品をフリマアプリで手放しました。小さなワンルームの生活品を処分して生まれたわずかなお金を、渡航費として貯めていったのです。

目標は1年間を生き抜くための250万円。毎日電卓を叩きながら、口座の残高や解約できる保険を確認し、「貯蓄が空っぽになっても、きっとどうにかなる」と自分に言い聞かせました。国内旅行ですらもったいなくて行けなかった私が、このときばかりは「何かを変えたい」一心で、不思議と動くことができました。

次に「コネなし」。

これまでの私は、「〇〇家の奥さん」「〇〇ちゃんのお母さん」「〇〇会社の人」と、常に所属する場所があり、その立場に合わせた振る舞いが必要でした。それは、ある意味で守られた生活だと言えます。しかし、スペイン留学を決意した私は、住民票を抜き、健康保険証を返却し、マイナンバーカードを失効させました。人生のあらゆる「紐づけ」から自らを解き放つ行為は、不安を募らせるものでしたが、後戻りしたいとは微塵も思いませんでした。現地に頼れるコネも、知り合いもいない中で、私は文字通りたったひとりでスペインの地へと旅立ったのです。

「誰かの何か」ではなく、ただ「私」として生きること。それがどれほど怖くて、でも尊いことなのかを、この旅が教えてくれる気がしていました。それは、過去の自分と決別し、まっさらな新しい人生を始めるための、静かで大きな儀式でした。

最大の壁

最も大きな壁だったのが「語学力なし」です。

英語にすら人一倍苦手意識があった私にとって、「真新しい言語を習得する」という決断は、まさに無謀とも言える挑戦でした。実際にスペインの語学学校の受付で「英語とスペイン語、どちらで説明するのがいい?」と尋ねられ、どちらもできない私は「NO」としか答えられませんでした。

でも「絶対成功してやる!」という強い意気込みはなく、「もしダメなら帰ってくればいいじゃないか」という、どこかふわっとした気持ちを大切にしていました。たとえ日本で再就職し、環境や給与が変わっても、この経験を持てた自分のほうがいい。そう思えたからです。

若い世代とは違う留学、久しぶりすぎる勉学、健康面の不安。以前に行ったスペイン、そして、あたたかくて優しいスペインだからこそ、決して意気込みすぎず、「違う国でひとりで生きてみる」というシンプルな目標を胸に、私はゼロからのスタートを切ったのです。

何が待っているかもわからず、見通しなんて立たないままの出発でしたが、だからこそ、「失うものは何もない」という軽やかさもありました。これまでの肩書きや役割を脱ぎ捨てた自分が、ただひとりの「私」としてどう生きていけるのか。それを確かめたい気持ちが、背中を押してくれていました。

Rita

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