
◆居酒屋で隣席男性によるパワハラ行為を目撃
しかも、なかには耳にするだけでも不快になるような話が聞こえてくることも——。「楽しく飲んでいるなら多少騒いでいたとしても個人的には気になりません。でも、学生時代の上下関係を大人になっても持ち込んでいるのか、職場の上司なのかはわかりませんが、 偉そうな態度を取ってる人っていますよね。そういうヤツが大声でダメ出しや説教をしているのは本当にイラッとします」
そう語るのは農家として働いている小林孝明さん(仮名・36歳)。彼が住んでいる地方の農村地帯の飲食店でも、そんな場面に遭遇することは一度や二度ではない。特に昨冬、同年代の農家仲間2人と訪れた地元のチェーン系居酒屋で隣の席だったアラフォー男性は「あまりにひどかった」と振り返る。
「その人はひと回りくらい若い部下の男性2人と席に着きました。最初からやけに高圧的な態度で、まだビールを1杯も飲んでいないのに『本当に気が利かない奴だな』と、説教じみた話が始まったことをよく覚えています」
すでにこの時点でパワハラ臭を感じるが、当然この程度では終わらない。部下から「係長」と呼ばれていたこの人物、アルコールが入ると態度はますますひどくなる。2人のことは呼び捨てだったが、そのうち「お前」や「おい!」と、彼らの名前すら呼ばなくなった。
◆友人の弟がパワハラ被害に…
さらに部下のうち、1人の出身大学のことを「Fラン大」としきりにバカにしていたそう。もう1人のことも彼が太めの体型だったことから「肥満児」と、からかうようになり、「今後は営業車を使わず、走って回れ!」など執拗に容姿イジリをしていたそうだ。「あれはただの悪口。ウチの地元にあるのは中小企業ばかりで、大企業に比べるとハラスメントに対する意識が低いのかなと感じましたが、それ以前の話でしたね。私は実家に戻る前、東京で会社勤めしていましたが、さすがにあそこまでひどい上司はいなかったですよ」
実は、このパワハラ係長がそこまで気になったのには理由がある。彼のサンドバッグと化していた2人の部下のうち、Fラン大と馬鹿にされていたのは友人の弟だったからだ。
「向こうも最初から私に気づいていましたが、この係長が横を向いた隙に小さく会釈してきただけ。だから、私も声をかけたりはせず、他人のフリをしていました。私と一緒に飲んでいた2人には小声でそのことを説明しました」

