「介護には正解がない」ならば試すしかない

──よく「介護に正解はない」といわれますが、吉沢さんはどうお考えですか?
私は「正解がない」のではなく「やってみないと正解がわからない」と考えています。利用者一人ひとりで感じ方が異なるので、最適解は試さなければわからないんです。
例えば、認知症の方を担当する場合、毎回が「はじめまして」になるので、「お久しぶりです」とアプローチしてみたらどうか、地元の話をしてみたらどうかなど、接し方を考えます。それでもダメならまた次、また次……と、その方が亡くなるまで考え続けるのが介護の仕事なんです。
成功と失敗を繰り返すうちに引き出しが増え、その人にあった対応が見つかりやすくなります。そのあたりで、「自分はこれが得意なのかもしれない」と気づけるんじゃないでしょうか。
そして、自分の得意なことが見つかったら、それを活かせる場所を探すことも大切です。自分の得意なことが評価されないのであれば、別の職場に転職したり、講師や施設の運営など別の道を探してもいいと思います。
──別の道とは、どのような働き方があるのでしょうか?
講師、ホーム長、ケアマネ、認定調査員、経営者、介護タクシー……。選択肢はたくさんあります。また、介護の仕事を始めたからといって、ずっと介護を続ける必要はないと思います。極端な話、「3年続けて介護福祉士を取ったら別の業界に転職する」でもいいんじゃないでしょうか。
──介護の講師としては少し意外な言葉ですね。
もちろん、介護職を楽しんで続けていただけることはうれしいです。でも、私は介護福祉士の資格を一種の「保険」だと考えています。
とくに若い人は、資格を取ったら本当にやりたいことにチャレンジしても良いと思います。もしその先で失敗しても、介護福祉士を取得していれば3年以上の実務経験があり、誰でも介助できることの客観的な証明になるので、いつ復職しても重宝されるんです。
「いい介護」ってなんですか?

──先ほど「やってみないと正解がわからない」とおっしゃっていましたが、吉沢さんが思う「いい介護」とはなんですか?
自分がされたい介護ですね。例えば、嫌な顔をしながらため息をついて、雑に洗顔や歯磨きをされる。これが毎朝続いたら苦痛じゃないですか。病院なら退院というゴールがあるので耐えられるかもしれませんが、施設によってはそれが最期まで続きます。死ぬまで雑に扱われるのかと考えると、「もう死にたい」「どうして生かされているんだろう」って思ってしまいますよね。
介護に絶対的な正解はありませんが、悪い介護はあります。自分がされたくない介護、それだけはしないでください。まずは「自分ならどうしてほしいか」を考えることが、利用者さん一人ひとりの正解に近づくための、最初の一歩なんです。
──頭ではわかっていても、日々の忙しさのなかでその気持ちを保てなくなる人も多いと思います。なぜそれができなくなってしまうのでしょうか?
できなくなる理由は「お世話してあげている感覚」があるからじゃないでしょうか。 人間の心理として、お世話をしていると自分の立場が上だと思ってしまうんです。だから「やってあげてるんだから感謝して」という考えに陥るんです。
私たち介護職員は、利用者さんから仕事をもらってる立場です。ボランティアであれば別ですが、お金をもらってる以上、オムツ交換も着替えの補助も“させてもらっていること”なんです。仕事の対価として、お金と感謝の両方を求めるのは欲張りだと思います。
──ありがとうございます。最後に読者へのメッセージをお願いします。
自分の時間を無駄にしないでください。時間は有限ですから、嫌な職場で「もう少し頑張ってみよう」なんて我慢する必要はありません。頑張らなくていいんです。どんどん新しい場所を探して、自分に合うところを見つけてください。
今後のキャリアに迷っているなら、まずは行動することが大切です。転職だけでなく、介護福祉士や同行援護、認知症ケア専門士など、いろいろな資格に挑戦してみるのもいいと思います。取ったものは決して無駄になりませんから。とにかく、まずは一歩を踏み出して、自分を試してください。
介護の仕事には、あなたが思っている以上にたくさんの選択肢と可能性があります。視野を広く持って、これからも自分を試し続けていってほしいと思います。
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