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「オーナー型株式投資家の鑑?」資産確認は半年に一度、本業優先で週末は息子との家族時間を堪能。35歳医療機器メーカー会社員の〈悠々自適な〉日常

「オーナー型株式投資家の鑑?」資産確認は半年に一度、本業優先で週末は息子との家族時間を堪能。35歳医療機器メーカー会社員の〈悠々自適な〉日常

多くの投資家は、株式を「売買する対象」と捉えていることでしょう。しかし、“企業のオーナー”として株式を所有することは、数字ばかりにとらわれる投資スタイルとは大きく異なります。本記事では、ファンドマネージャーの奥野一成氏が、優良企業の成長に長期で伴走する「オーナー型株式投資」の詳細を解説。株主として企業のオーナーになることの意義と「オーナー型株式投資」の模範であるA氏の1週間のストーリーを紹介します。

企業のオーナーの意識を持つ「オーナー型株式投資」

「売買型株式投資」がその売買の対象としている企業の株価は、市場において毎日、毎秒大きく揺れ動くものです。しかし、その企業の「価値」は実際にその企業が「稼ぐ力」によって変わるものなので、本来的には市場での株価変動に応じて揺れ動いたりするものではありません。

「オーナー型株式投資」とは、その企業の「稼ぐ力」を株主(=オーナー)として保有するという考え方です。法的な見地でも、株式を保有するということは、その企業の残余利益に対する持ち分を持つということなので、企業の「オーナー」の1人になることに他なりません。したがって、株式投資という言葉には「オーナー」という意味が元々含まれているので、「オーナー型株式投資」という言葉自体、本来は重複表現になります。

しかし、あえてこの言葉を使う理由は明白です。株式投資をする人のほとんどが、自分が企業のオーナーであるという意識を持っていないのが現実に基づきます。

多くの投資家にとって、株式とは単なる「売買する対象」であり、画面上で価格が上下する「数字」に過ぎません。しかし株式を保有するということは、本質的にはその企業の一部を所有し、その価値の増大を享受する立場にあることを意味します。

ディズニー社の株式を所有しているなら、ミッキーマウスがオーナーであるあなたのために、あなたが寝ている間も世界のどこかのディズニーランドでパフォーマンスを続け、ゲストを魅了してくれているということなのです。

もし、あなたがこの事実を実感できないとすれば、それは単なる売買型株式投資の発想にとらわれている可能性があります。その場合は、本記事で紹介する医療機器メーカーに勤める35歳のビジネスパーソンA氏の1週間をストーリーとして振り返り、オーナー型株式投資家とはどういうものなのか体感してみてください。

オーナー型株式投資家A氏の1週間

さまざまな視点で情報のアンテナを張る月曜日

月曜の朝、A氏はいつも通り6時に目覚める。朝食を家族と取りながら、軽く息子の幼稚園の話を聞き、その後、その日のスケジュールを確認する。電車通勤中には経済ニュースをチェックし、気になる企業の決算発表があるかを確認。ここで新たな投資先を探そうとはしない。むしろ、自分が投資している企業の戦略や収益性が長期的にどう変化するかに関心を寄せる。

職場では中期経営計画策定プロジェクトの一員として、午前中から企画案の検討に忙しい。A氏は、新NISAのつみたて投資枠を活用して、以前から積立投資しているアクティブファンドの投資先の中から面白いと思っている米国動物医薬メーカー「Zoetis」に対して、新NISAの成長投資枠で個別に投資を行っている。その投資分析を通じて得た視点が、現在の業務に役立っていると日々感じている。「医療機器業界でも動物医療市場は大きな可能性を秘めている」と企画会議で提案すると、上司からも好感触を得た。

夜は家族とゆっくり夕食を取り、息子と遊んでからリビングで読書。『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド著、倉骨彰訳、草思社文庫)を読み進めながら、歴史から経済の潮流を捉える面白さに思いを馳(は)せる。23時前には就寝するのが習慣だ。

これまでの経験が自身の資産だと実感する火曜日

この日もプロジェクトの会議が続く。A氏は、自分が投資家として身につけた「企業価値を長期的視点で考える力」が、会議での発言に深みを与えていると感じている。「事業別競争優位性を軸にした、中期計画の目標設定をもっとリアルな数字に落とし込めないか」との発言が、同僚たちに好評だった。

昼休み、経済ニュースを眺めていると、Zoetisの競合企業が新製品を発表したとの記事を見つける。早速、週末にレポートを読む計画を立てる。A氏は常に「投資家の視点で情報を整理する」習慣を持つが、それはあくまで仕事を終えてからのことだ。

夜は久しぶりに営業部門に在籍していた時代の取引先と会食。「あの頃は現場に出ていたおかげで、製品が顧客にどう受け止められているかを実感できた」と昔話に花を咲かせる。その時は辛(つら)いことも多かったが、過去に一緒に働いた方々との繫(つな)が重要な自分の資産だと思えるようになった。

長期的な視点でビジネスの視野を広げる水曜日

週半ばの水曜日、次期中期計画の策定には、医療機器業界の最新動向を調査し、成長市場を人口動態などのマクロと結びつける必要があるが、投資先の企業分析で得た知識がここでも役立っている。

夜、A氏は新聞で読んだ「動物医薬市場の拡大」という記事に触発され、Zoetisの過去5年間の収益性と競争優位性をエクセルに整理した。ファイルを眺めながら、「この企業の強みを支える要素を、うちの会社にも応用できないだろうか」と考える。投資が単なる資産運用という資産形成の枠組みを超えて、自らのビジネスの視点にも新しい気づきを与えている瞬間だった。
 

公私のバランスを保ちつつ全力投球する木曜日

木曜日は顧客訪問が断続的に重なる日である。A氏はプレゼンテーション資料を完璧(かんぺき)に準備し、午後の商談に臨む。顧客の反応を観察しながら、製品がどのように価値を生むのかを説得力を持って丁寧に説明する。

帰宅後、家族と食卓を囲む時間を心から楽しむ。息子の幼稚園での出来事を聞きながら、家族の時間が自分にとって何よりも大切だとあらためて思う。夜はお気に入りの小説を開きながら、静かな時間を過ごす。
 

仕事と市場動向のリフレクションにあてる金曜日

金曜日の夕方、A氏は週の仕事を振り返りながら、次週に向けた準備を進める。この日は上司・同僚たちを誘って一緒にディナーに出かけた。カジュアルな情報交換やちょっとしたコミュニケーションが円滑に仕事を進める上では大切だと考えていて、中堅職員の1人としてチームビルディングを主体的に考える年次になっていると感じている。

帰宅後、この1カ月の市場動向を振り返る。株価変動に一喜一憂することはないが、新NISAを活用して積立投資をしているS&P500インデックスやアクティブファンドが、着実に自分の資産の中でどの程度のバランスになっているのかは6カ月に一回の確認のみだ。両方とも7年以上にわたって毎日積立で投資をしているので、すでに自分のこれまでの投資累計額(平均取得単価)もわからなくなっているし、投資累計額を認識すること自体それほど重要ではないと考えている。
 

家族との時間と自己研鑽(けんさん)で充実する週末

土曜日の朝、A氏はコーヒーを片手に投資先のZoetisの最新決算をエクセルに入力し、収益性や戦略の確認を行う。自らの投資判断が正しかったことを手触り感をもって確認しながら、次の投資のヒントとなるメモをノートに残す。「長期的視点を持つことが、価値を生む秘訣(ひけつ)だ」と自分に言い聞かせながら、午前中の作業を終える。

その後、家族と図書館へ向かう。息子と一緒に絵本を選ぶ傍ら、A氏自身も歴史やビジネスに関する本を手に取る。「本は昔の人がどうやって問題を解決してきたかを学ぶのに一番いいツールなんだ」と息子に説明しながら、学びの楽しさを伝えようとする。図書館の後は公園で息子と一緒にサッカーを楽しみ、リフレッシュする時間を満喫する。

夜、息子が眠った後は、お気に入りのユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』(柴田裕之訳、河出書房新社)を開き、歴史や経済の知識を深める時間を楽しむ。A氏にとって、この時間は投資のヒントを得るだけでなく、自分の人生を豊かにする気づきを得る機会でもある。

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