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「オーナー型株式投資家の鑑?」資産確認は半年に一度、本業優先で週末は息子との家族時間を堪能。35歳医療機器メーカー会社員の〈悠々自適な〉日常

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オーナー型株式投資は、人生の質をも向上させる

さて、A氏の1週間を見たとき、皆さんはA氏のことを「投資家」と呼ぶでしょうか? 皆さんが典型的と思っている「投資家」とは全く異なるものであると感じるかもしれません。
 

1:株式投資と本業の相乗効果

A氏の1週間は、株式投資と本業のビジネスが補完関係にあり、互いに強化し合う形で成り立っています。彼がオーナー型株式投資の基準として重視する「優れた経済性を有した事業」は、自身が勤務する医療機器メーカーの企画業務と深く関連しています。

たとえば、投資先企業のZoetisを通じて得た動物医療分野の洞察は、A氏の企画職での新しい提案のヒントとなり、職場での評価にもつながっています。また、仕事を通じて培った市場分析力や数値感覚が、投資先企業の選定にも役立っており、日々の実務と投資活動が相乗効果を生んでいます。
 

2:長期的視点による本質的な価値の追求

A氏の投資哲学は、「優れた事業の価値創造を自分の富に取り込む」という考えに基づいており、株価の短期的な変動には一喜一憂しません。日々のニュースや市場の動きをフォローしつつも、それが投資判断を大きく左右することもありません。

むしろ彼は企業の本質的な価値や長期戦略に注目し、半年に一度程度の売買で堅実に資産を増やす道を選んでいます。新NISAのつみたて投資枠を活用したS&P500インデックスファンドの運用も、その一環です。

積立で投資していることから、自分のPL上の収益率よりもむしろバランスシートの中で株式比率、日本円以外の比率がどうなっているのかをモニタリングしている。もちろん短期的な収益に心が惑わされることもありません。
 

3:リベラルアーツの探究と次世代への価値観の継承

A氏は、自分の頭で考える力の重要性を深く理解しています。日々の読書や企業分析を通じて得た知識を基に、リベラルアーツ的な視点で歴史や哲学、ビジネスの本質を探究しています。この知的好奇心は、彼の精神的な安定性の源泉となっており、株式市場の浮き沈みに振り回されることのない強さをもたらしています。

また、土日には息子と過ごす時間を大切にし、自分の仕事をひとつの事業と捉えながら、それに対して主体的に関わることの面白さやリベラルアーツの意義をそれとなく伝えています。「自分で考えて主体的に行動することの大切さ」を息子に理解させたいというA氏の願いは、彼自身がオーナー型株式投資を通じて得た生き方そのものを次世代に繫げたいという思いからきているのではないでしょうか。

オーナー型株式投資は、忙しいビジネスパーソンにとって「投資とは本来こうあるべきものだ」とあらためて気づかせてくれる手法である一方で、「これが本当に投資なのか?」と驚いた人もいるかもしれません。

A氏は「株式投資とは企業のオーナーになること」であり、優れた事業の経済性を持つ企業に投資することは「プラスサムゲーム」であると理解しています。なぜなら、優れた企業は長期的に利益を上げ、その価値を増大させるからです。そして、その価値増大の恩恵をオーナーである株主が享受する。これこそが、本来の株式投資の姿です。

だからこそ、オーナー型株式投資では、短期的な株価の変動に振り回される必要はありません。市場のノイズに惑わされず、成長する企業を適切に選択し、見守ることで、投資家自身はビジネスパーソンとしての本業に集中できます。それどころか、本業で培ったビジネスの洞察が投資に活かされ、投資を通じた企業分析が仕事の視野を広げるという、相乗的な好循環が生まれるのです。

さらに、オーナー型株式投資は、単なる財務数値の分析を超え、事業の歴史的背景や経営者の人物像、さらには社会全体の構造を理解する視点をもたらします。その結果、リベラルアーツへの興味が自然と広がり、人生全体の質を向上させるきっかけにもなるでしょう。もしかすると、歳を重ねるごとに、資産形成よりもこの知的探究、知的刺激のほうが、自らの人生にとってより本質的な価値を持つと感じる日が来るかもしれません。
 


奥野 一成
投資信託「おおぶね」 ファンドマネージャー
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC)
常務取締役兼最高投資責任者(CIO)

 

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