新日本プロレスの人気プロレスラーにして「100年に一人の逸材」と言わしめ、第11代社長(’23年12月就任)も務める棚橋弘至が、日々の激務のなかでひらめいたビジネス哲学を綴っていく。今回は「頑張りどき」を自分で見分けられるか?について。棚橋社長はいったいどんな結論に至ったのか。(以下、棚橋弘至氏の寄稿。※週刊SPA!2025年10月28日号より)

◆「頑張りどき」か否か、自分で見分ける鍵は、常に全力でいること
詰まってきました。いえ、詰んではいませんけど、詰まってきました。
社長就任から1年と9か月。社長も全力! プロレスラーも全力!と突っ走ってきて、引退までとうとう残り3か月(※執筆時)を切りました。
もちろん一瞬一瞬を大事に過ごしていきたいわけですが、この先の3か月の予定が、現時点でパンパンなのです。試合、会社、練習、原稿、テレビ、ラジオ、講演会……etc.
「うぉい!」と。
「待て待て待て」と。
これから、とっても大事な期間に入っていくのに、てんやわんやかーい!と。
いや、自分で選んだ道ですからね。てんやわんや、好きですしね(笑)。……となると、乗り切るしか道はない。
この道を行けば、どうなるものか、と。危ぶめば道はなし、だと。その一足が道となる、はず。
こうして、通常業務にエキストラの仕事が乱入して来ることは、僕に限らず皆さんにもあることですよね。そんな場面をどう切り抜けるかで、「できるヤツ」の称号が手に入るかどうかが決まるような気がします。

その「頑張りどき」を自分で見分けられるか?が、実はとても大切なんですね。皆さんの日常の中にも、そんな場面がありますよね。
それに、過去の記憶の中にも「あのとき、もっと頑張っていたら」って思うこともたくさんあるでしょう。
「過去から教訓を知り、今を全力で生きる」
この繰り返しこそが「進化」に繋がっていくのだと感じています。
その先に、勝ち得ていくもの、それが周りからの「信頼」なんですね。そしてその信頼というものは、成功や失敗ではなく、普段の仕事に対する取り組む姿勢なんじゃないかと思うのです。
精いっぱいやった結果の失敗は、その先の修正やリトライにも、皆の協力が得られるような気がします。
さて、この「見極め力」、なんとかして手に入れたいですよね……。
では、どうしたら手に入るのか? その唯一の方法は……「常に全力を出しておくこと」なのです。
えっ?と思われるかもしれませんが、全力を出していないときの壁は壁にあらず、なのです。
全力の向こう側に「伸びしろ」があるのだと知っておいてください。
ハッ! 引退まで3か月を切った時点で、あらためて思うことではないかもしれませんが、「スタートはいつでも切れる」という姿も、この後、1月4日の引退までの期間で見せていきます。
ええ。まだまだ進化します。そして、できるヤツは、言い訳もしないですからね。フフフッ(猪木さん口調で)。
◆今週のオレ社訓 ~This Week’s LESSON~
過去から学び、今を全力で生きる。この繰り返しこそが「進化」!<文/棚橋弘至 写真/©新日本プロレス>
―[新日本プロレス社長・棚橋弘至のビジネス奮闘記~トップロープより愛をこめて]―
【棚橋弘至】
1976年生まれ。新日本プロレスの第11代社長(’23年12月就任)であり現役プロレスラー。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」。得意技は「ハイフライフロー」。身長181㎝ 体重101㎏

