では、村野氏の考える“投資”とは何か。その一端を本書から抽出してみる。
(本記事は、『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』より一部抜粋、再編集したものです)

◆投資とは何か。BSとPLを用いて解説すると
みなさんは「投資」とは何をすることかをはっきり言えるでしょうか。投資とは株式、FX、投資信託、金やETF、不動産などの金融商品を買うことと思っている方も多いように思います。私にとっての「投資」の定義は、BS(バランスシート、貸借対照表)にある資産をPL(プロフィットアンドロスステートメント、損益)の利益を生み出すモノに変換する行為のことです。この事実を分からずに投資を行っている人はかなり多いように思います。
BSやPLと言われると簿記の知識が必要でややこしいかもしれません。BSとPLを理解するのに一番分かりやすいのは企業の設備投資です。企業は元々持っている現金資産を使って工場を建設します。工場を建設してモノを作って売れれば、それが売上利益に繋がる。これがBSに載っている現金資産を用いてPLを生み出す行為です。設備投資で一時的にBSの現金資産は減りますが、それによって作る商品が売れればリターンである売上利益が大きくなります。工場を建設してモノを作らなければPLは得られません。ストックをフローに変えるのが「投資」なのです。
この観点で行くと、株式を購入するのにも「投資」と呼べるモノとそうではないモノがあると思います。例えば、配当がない株式を購入した場合……。特段、配当は出てないのですから、利益自体は変わりません。ですから、BSをBSに変える行為です。企業の株を買ったとき、その企業が売上利益をしっかり上げて、配当をしてくれれば自分のPLが増える。これが王道の投資です。
◆投下した資金を回収することが肝心

改めて声を大にして言いますが、投資は所有をすることによって利益を出すことです。ですから、金や暗号資産、配当のない株、分配金の出ない投資信託を購入するのは単なる値上がり期待のみで購入しているもので、私のなかでは投資とは言えません。その意味では単なる値上がり期待で不動産を購入するのも投資ではありません。
キャッシュフローを生み出すものに資金を投入すること。これだけが投資であると私は確信しています。キャッシュフローを生み出す限り、時間をかければ投下した資金を回収できます。つまり、時間に対して利益が出続けなければ投資としては失敗と言えるでしょう。
時間がかかってもいいから投下資金を回収できるコト。それだけを「投資」と呼ぶほうが分かりやすいかもしれません。時間さえ味方につければ負けないこと。そんな基本的なポイントを押さえれば「投資に負けはない」と理解できるのではないでしょうか。<構成/上野 智(まてい社)>
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)

