◆結果として「理想的な形のハロウィン」に

今年のハロウィンも、トー横は立ち入り禁止。その周囲は一方通行で、誰しもが左回りに歩行するよう指示された。ただし上述したように、この日のトー横周辺を歩く人は決して多くない。歌舞伎町では渋谷と同様、大勢の警察官と警備員が配置されていたが、肝心の「警備される側」、つまり来訪者はまばら程度にしかいなかった。多くの人が、JR新宿駅東口から見てより手前側にある飲み屋に入ってしまった印象だ。
もしかしたら、これが「理想的な形の新宿ハロウィン」なのかもしれない。
なぜ、外国人旅行者は日本の繁華街で「路上呑み」をするのか。それは結局のところ、日本の都市部の治安は良好に保たれているからだ。これがたとえば、アメリカの大都市ではそうはいかない。路上で酔っていようものなら、窃盗や強盗に遭う可能性が高いからだ。
もちろん、外国人旅行者の路上呑みは都市衛生に多大な負担がかかる上、繁華街の飲食店には全く利益が発生しない行為である。が、何かしらのきっかけで彼らが路上呑みをやめ、飲食店を利用してくれるようになれば、その時点で新宿ハロウィンにつきまとっていた問題の大部分を払拭することができたと言えるのではないか。
警備員や新宿区職員による積極的な声かけの効果もあったはずだが、やはり雨が最大の要因となり、路上吞みをする外国人は殆ど姿を消した。そこにあるのは、いつもの週末と大差ない歌舞伎町の光景である。
◆渋谷・新宿は池袋の例に倣うか?

池袋ハロウィンが渋谷・新宿と異なるのは、これが「主催者のいるイベント」であるという点だ。明確な実行委員会が存在し、もちろんながら参加規約も設定されている。池袋ハロウィンは「秩序あるイベント」であり、それがもたらす安心感が多くの人に認められるようになったのだ。
渋谷と新宿のハロウィンがその例に倣い、誰もが楽しめるコスプレイベントとして整備される可能性は今後あるのだろうか。
<取材・文・撮影/澤田真一>
【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』

