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資本家が「寝ている間」にも、ブランド価値が高収益を生む…?インフレ下でも〈フェラーリ〉が強いワケ

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短期的な株価の上下に感情が浮き沈みする人は、毎日の市場動向に疲弊しているかもしれません。一方で、強い企業の株を保有し、その稼ぐ力を取り込むことで自分自身の資産を増やすことができたら、運用における気構えも変わることでしょう。本記事では、ファンドマネージャーの奥野一成氏が、オーナー型株式投資の本質である、自らの資産に企業の「稼ぐ力」を取り込む「BS(バランスシート)発想」の詳細を解説します。

オーナー型株式投資はBS(バランスシート)発想

オーナー型株式投資においては、PL発想ではなく、BS発想であるという視点が重要になります。

売買型株式投資は「PL(損益計算書)発想」です。これは「どれだけ稼げたか(売買益)」に集中する考え方で、日々の損益が投資判断の中心になります。つまり自分の簿価が売買の基準となっていて、時価が簿価を上回っていれば「利食い」、時価が簿価を下回っていれば、残念ながら「損切り」するという発想です。そして時価が簿価を大きく下回っていると「塩漬け」することになります。

この発想は、安く買って高く売ることが目的であり、成功の指標は「その瞬間にいくら利益を出したか」です。この考え方では、今すぐ現金化できる利益を最重視するため、長期的な企業の価値創造には意識が向かないのも当然です。

一方、オーナー型株式投資は「BS(バランスシート)発想」です。ここでいうBS発想とは、単に投資先企業のバランスシートに注目することではなく、自らのバランスシートに強い企業の稼ぐ力を取り込み、自分自身の資産の稼ぐ力を高めるという考え方を指します。

つまり、企業の成長エンジンを自分の資産として組み入れ、その企業が生み出す将来の利益の一部を、オーナーとして享受し続けることが目的なのです。BS発想では、目先の損益や短期的な株価の変動に振り回されるのではなく、「時間の経過とともに自分の資産がどれだけ力強く稼げるようになるか」が最大の関心事です。

たとえば、優れた企業は利益を積み重ね、それを再投資に回すことで新規事業を立ち上げたり、生産能力を強化したりします。その結果として企業価値が高まり、株主である自分の資産も同時に成長していきます。そういった優れた企業の稼ぐ力を自分のバランスシートに接続し、時間をかけてその力を自分の資産に内在化させるという極めて本質的な投資アプローチです。

PL発想が「今日いくら稼げたか」という短期的な収益に焦点を当てるのに対し、BS発想は「将来、どれだけの稼ぐ力を自分の資産に蓄えられるか」を問い続けます。この違いは単なる時間軸の差ではありません。

「お金をその場限りの道具として扱うか、それとも投資先企業を将来にわたって稼ぎ続けるパートナーとして自らの資産に取り込めるか」という、投資家としての根本的な価値観の違いを示しています。

オーナー型株式投資におけるBS発想は、自分自身のバランスシートを企業と共に育て上げることで、長期的かつ持続的な資産形成を実現するための強力な武器となるのです。

繰り返しになりますが、オーナー型株式投資の本質は、自分のバランスシートに「他者の稼ぐ力」を取り込むことにあります。多くの人にとって「自分の稼ぐ力」とは、自らの時間を使い、労働を通じて得る給与所得を指すでしょう。

しかし、株式を保有するという行為は、単に紙切れを手に入れることではありません。あなたが選んだ企業の「稼ぐ力」そのものを、自分の資産構造の中に取り入れることができるのです。

日本に必要な「労働者から資本家へのパラダイム・シフト」

たとえば、イタリアの自動車メーカー「フェラーリ」を想像してください。フェラーリの株式を1株でも保有すれば、あなたはその企業のオーナーの1人になります。これは、フェラーリのスポーツカーを1台購入してガレージに飾るのとは本質的に異なります。

[図表1]フェラーリのEPS成長と株価  

フェラーリを1台買って飾っておく行為と、膨大な数のフェラーリを創り出す能力を自らのバランスシートに組み込む行為のどちらが魅力的でしょうか? フェラーリという会社は、年間約1万3000台もの車を製造し、1台当たり7000万円以上で世界中に販売しています。その「極めて高いブランド価値を背景に、高収益を生み出す仕組み」を、あなたはオーナーの1人として間接的に所有できるのです。

つまり、フェラーリが稼ぎ続ける限り、あなたのバランスシートはその成長を取り込んでいきます。多くの日本人は、日本企業に雇われる「経営者」や「労働者」となります。

経営層であれ一般社員であれ、株式を持たない限り、基本的には「労働力を提供し、給与を得る立場」にとどまります。もちろん自己投資をしてスキルを磨き、出世すれば労働者としての収入は増えるでしょう。

しかしこれはあくまで「量的な変化」、具体的には「労働時間」と「時給」の掛け算による変化に過ぎません。すなわち労働時間を増やすか、時給を上げるかの違いであり、根本的な収入構造は変わらないのです。

一方、株式を保有することで得られる投資所得は「資本家」の所得です。これは労働所得と異なり、時間や労力を直接投入せずに得られる収入源です。ここで起こるのは「質的な変化」であり、まさに労働者から資本家へのパラダイム・シフトです。

労働者から資本家へ。このポジショニングの変化こそが、あなたを「寝ている間」にもお金を稼ぐ立場に押し上げてくれるのです。なぜなら、あなたが眠っている間も、優秀な経営者や従業員たちがあなたの代わりに働き、事業を成長させてくれているからです。

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