71歳からの再出発、これからは、今までできなかったことに挑戦するのだそうだ。
バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍…激動の時代を見事な経営手腕で乗り越え、グループを大きくしてきた三國シェフ。怒涛の人生を凝縮させた新刊『三國、燃え尽きるまで厨房に立つ』(扶桑社刊)を上梓した三國シェフに、今だから話せる成功の秘訣について聞いた。

◆フランス料理店は儲からないが華がある

なによりも材料費がかさむ。食材によっては、日本で手に入りにくいため、海外のものにならざるをえないことも多いし、ワインもチーズも揃えなければならない。
さらに従業員は、料理人やサービス担当だけでなくソムリエも置く必要がある。そのうえ、前にも書いたように、質の高いサービスが求められ、インテリアなど店の雰囲気づくりにも気を配らなければならないのだ。
もちろん料金をたくさんいただければよいのだけれど、まさか1人10万円というわけにはいかず、ディナーなら、リーズナブルなところで1万円、高くても3万円くらいに収めなくてはならない。
となると、その中でやれることにはどうしても限りがある。材料費30%、人件費30%、その他諸々の経費30%を引いた残りの10%が利益になるのだが、いい店をつくろうとすればするほど、30%、30%、30%の確保は難しくなり、儲けを圧縮せざるをえなくなってしまうのだ。
そんなことやってられるか、と言いたくなるのではないか。当然のことだけど、こんなうまみの少ないビジネスには、企業はあまり手を出したがらない。
◆店を育てるためにこそ、儲けは必要

現実はこんなにも厳しいというのに、フランス料理店をやりたいという人はけしていなくならない。それは、フランス料理には、日本料理や中国料理にはないような華があるからだろう。
伝統と創造性を融合させた料理、目でも楽しめるよう工夫されたプレゼンテーション、お祝いや慶事、大切な人との特別な食事の場面など華やぎの中で提供されること、フランス料理は食事を楽しむ文化そのものであること――。
儲からなくても魅力にあふれているのがフランス料理店の経営なのだ。儲かりさえすれば最高なんだけど。

