5.オフィスをリノベーションするときの注意点
オフィスをリノベーションする際は、以下5つの点に注意しましょう。
目的を明確にする
施工できる範囲を確認する
賃貸物件の場合は原状回復を考慮する
建築基準法や消防法を遵守する
工事中のワークスペースを確保する

5-1.目的を明確にする
オフィスをリノベーションする際は、目的を明確にして社内で共有することが大切です。目的があいまいだとデザインばかりで利便性を欠いたり、最低限の修繕のみで効果が薄くなったりする可能性があります。以下のように、まずは大きな目標をひとつ立ててみてください。
生産性の向上
採用力の強化
企業ブランド力の向上
経営層や総務、現場社員などさまざまな部署から意見を集めて優先順位を整理することで、方向性がぶれにくくなります。はじめに目的や評価基準を設定しておくと、完成後の成果を測定しやすくなります。
5-2.施工できる範囲を確認する
オフィスをリノベーションする場合、建物の管理会社やオーナーとの契約書を確認し、施工できる範囲を把握しましょう。電気や空調、消防設備など、建物全体のインフラに関わる工事はとくに制約が多くなるため、注意してください。
工事範囲があいまいなままリノベーションを進めると途中で設計変更が必要になり、余計なコストがかかるかもしれません。なお、建物の管理会社やオーナーの承認を得られるまで時間を要することもあるので、余裕を持った計画が必要です。
5-3.賃貸物件の場合は原状回復を考慮する
リノベーションする建物が賃貸物件の場合は、原状回復を考慮しておく必要があります。一般的に賃貸物件の退去時には、入居前の状態に戻さなければなりません。壁の造作や床材の張り替えなど、撤去や復旧に費用がかかる工事は注意してください。
リノベーションする際は管理会社やオーナーに具体的な内容を説明し、原状回復が必要な部分と残しておいてもよい部分を明確にしておくと安心です。将来的な移転や拡張を考えて、原状回復のコストを見越した内容にしておくのもひとつの方法です。
5-4.建築基準法や消防法を遵守する
オフィスをリノベーションする際、建築基準法はもちろん消防法などの定められている法律は遵守しましょう。たとえば消防法では、非常口や避難経路、防火区画などを守らなければ、検査に通らず建物を使用できなくなるおそれがあります。
火災報知器やスプリンクラーなどの追加が必要になるケースもあるので、余裕を持って予算に組み込んでおきましょう。リノベーションの計画中に法律が改正されることもあるため、設計段階で施工会社や行政に確認しておくことが大切です。
オフィスや店舗のリノベーションは、関連する法律が住宅のリフォームとは異なります。店舗リフォームの実績が豊富な会社であれば、法律にかかわる問題にも適切に判断してくれるでしょう。
5-5.工事中のワークスペースを確保する
工事中は騒音や振動、粉塵などが発生するため、別途でワークスペースを確保しておきましょう。そのまま業務を続けると、生産性が大きく下がる可能性があります。たとえば、以下のような対策が効果的です。
仮設オフィスの用意
在宅勤務体制の準備
工事の分割
工期が長引くと社員の負担も増えるため、細かく計画を立てて最短で終えられるようにしましょう。なお、PCやサーバー、ネットワークの移設計画も含めておかなければ業務が滞るおそれがあるので、注意してください。
6.オフィスリノベーションを成功させるポイント
オフィスをリノベーションする際は、以下2つのポイントを押さえておくと費用を抑えられ、スムーズに工事を進められます。
補助金・助成金制度を活用する
オフィスリノベーションの経験が豊富な業者に依頼する
6-1.補助金・助成金制度を活用する
オフィスのリノベーションは大規模になることが多いため、可能な限り費用を抑えたいものです。それぞれに要件が設けられているものの、以下のような補助金・助成金制度を活用できればリノベーション費用を抑えられる可能性があります。
このテキストを選択した状態でtableを挿入すると、横スクロールするテーブルになります。| 補助金・助成金制度 | 概要・用途 |
|---|---|
| ものづくり・商業・サービス 生産性向上促進補助金 |
中小企業の生産性向上や効率化を目的とした投資を支援 オフィスの省エネ改修(LED化、空調更新など)に活用可能 作業効率を高めるレイアウト変更や設備導入にも適用される場合あり |
| 小規模事業者持続化補助金 (一般型・通常枠) |
小規模事業者の販路開拓や業務効率化を目的とした投資を支援 店舗やオフィスのリフォーム費用に利用可能 |
| 中小企業省力化投資補助金 |
人手不足対応や省力化のための投資を支援 オフィスでの自動化設備、効率的なレイアウト改修、デジタル機器導入と合わせた改装に利用可能 |
| 中小企業成長加速化補助金 |
成長を目指す中小企業の投資を支援 オフィスや店舗の建物改築・改装を含む場合あり |
| 中小企業新事業進出補助金 |
新規事業進出を行う中小企業を支援 新事業に対応したオフィスリフォームやレイアウト改修に活用可能 |
| 事業承継・M&A補助金 |
事業承継やM&Aを契機に行う新規取り組みを支援 承継後のオフィス刷新やリニューアルに利用可能 移転やレイアウト変更など大きな改修も対象になる可能性 |
| 事業再構築補助金 |
新市場進出や業態転換を目的とした事業再構築を支援 オフィスの全面改修やスケルトンリノベーションが対象となる場合あり 新しい働き方に対応した空間づくりに活用可能 |
| IT導入補助金 |
ソフトウェアやクラウドサービス導入を支援 リノベーションと合わせてICT環境の強化が可能 無線LAN設備、会議用システム、テレワーク設備などに活用可能 |
| 働き方改革推進支援助成金 |
労働時間短縮や柔軟な働き方を推進する企業を支援 在宅勤務環境の整備やオフィスリフォームによる働きやすい職場環境整備に活用可能 |
| 業務改善助成金 |
生産性向上を目的とした設備投資等を助成 オフィスのレイアウト変更、什器や備品の更新など、効率化に資するリフォームに利用可能 助成を受けるためには最低賃金の引上げなどの条件あり |
| 受動喫煙防止対策助成金 |
職場における受動喫煙防止対策を支援 喫煙室の設置や換気設備の導入に活用可能 健康経営や法令遵守を目的としたオフィス改修に適用可能 |
各制度には事業規模や事業区分などによりいくつかの枠が定められているケースが多く、それぞれで補助率や上限額、条件が大きく異なります。申請スケジュールは制度や枠ごとに定められているため、タイミングを逃さないように注意してください。各制度の公式ホームページなどで、公募要領を定期的にチェックしましょう。
なお、紹介した補助金・助成金制度の一部は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
【2025年度】目的別店舗リフォームの補助金制度と申請のコツ
6-2.オフィスリノベーションの経験が豊富な業者に依頼する
オフィスリノベーションの経験が豊富な業者に依頼することも、ポイントのひとつです。オフィスのリノベーションやリフォームの経験が浅い業者は、消防法などの法規制に対応した設計能力やノウハウを持っていない可能性があるためです。
施工業者の公式ホームページなどで施工事例を確認し、自社のオフィスと似たような規模や同じ仕様の実績があるかをチェックしましょう。また、以下のような点も確認しておくと、マッチする施工業者を見つけやすくなります。
コミュニケーションがスムーズか
見積もりや仕様などを明確に提示してくれるか
アフターケアや保証内容が充実しているか
補助金制度の申請実績があるか
ただし、1社だけではマッチしているか判断しづらいため、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。リフォームガイドなら、プロのコンシェルジュが丁寧にヒアリングし、要望に沿った施工業者を紹介できます。自社の審査に通過した優良会社のみを紹介するので、ぜひ活用してください。

