日本の秋を彩るグラス類のススキ

今月は、ススキの群落で有名な箱根の仙石原を訪れる機会にも恵まれました。ススキの穂がまだ少しずつ姿を見せ始めている頃で、残念ながら見頃にはまだ早すぎたため、ほとんど観光客もいませんでした。
こうした行楽地ではなくても、九州でも至る所にススキが伸び、空き地や手入れの行き届いていない場所、庭、そして道路と歩道の間のわずかな隙間まで、さまざまな場所で生い茂っています。日本では大都市から小さな村まで、道端のツツジの生け垣の隙間からススキが顔をのぞかせている光景を見ることができるのも面白いものです。
ススキは東アジアの広い地域に自生し、長い歴史と共に人々に深く親しまれてきた植物です。ドイツやヨーロッパでは、個人の庭や公共の公園でよく植えられるだけでなく、今では農作物としても利用されています。
ドイツにある実家からは、南東に約500メートル離れた小さな丘が見えるのですが、この丘には一面にススキが生い茂っています。丘の背後にある松林と、柔らかくなびく背の高いススキとが完璧なコントラストをなして、とても美しい景色になります。
このススキは農業用に植栽されたもの。以前この丘はトウモロコシ畑で覆われ、それより前はただの草が生い茂る広大な牧草地でした。半世紀ちょっと昔には、きっと丘の周りで牛たちがのんびりと草を食んでいたことでしょう。
農作物やガーデンプランツとして有用

農作物としてのススキは、春に収穫されます。大型のチョッパーで刈り取りが進むと、数日のうちに美しい景色はすっかり禿げ上がって空っぽに。風になびく葉や、長く伸びたススキの中でシカやウサギが隠れられるスペースもなくなり、すべてが地上約10cmの高さで刈り取られます。劇的に変わった景色の中で、背後の森が存在感を増し、高く大きく見えます。
こうして刈り取られたススキは、一例として圧縮してペレットなどに加工され、収穫物を乾燥させるペレットストーブの燃料として利用されています。ドイツでは、このようにバイオマス燃料としての利用が農家の間で進んでいますが、大型の暖房施設の燃料用に石油を購入する必要がなくなるため、大きな節約になります。
春から夏にかけてススキはもう一度伸びて、また翌年には収穫ができます。エネルギー消費やコストを抑えるサステナブルな方法ですね。

私の目には、ススキはまだガーデンプランツとして過小評価されているように映ります。葉をたっぷりと茂らせた大株のススキが、春先には丁寧に剪定されている光景を見ることもありますが、刈り取られた葉が大抵ビニール袋に詰められて可燃ゴミにされているのが少し残念です。
先日、小さなカッターで果樹の下に茂る30cmほどのススキを刈り込んでいる人を見かけました。毎日一部だけを刈り込んでいくので、なぜ一度に刈ってしまわないのか疑問に思いましたが、よく考えれば、あれはゴミ捨て場に捨てられるゴミ袋の量を計算していたのかもしれません。後日、ススキの美しい葉が詰まったゴミ袋がたくさん捨てられていました。
個人的な意見では、堆肥やマルチング材にもできるのに、捨てるなんてもったいない! オーストリアでは、マルチング材としてススキの葉を販売している専門の会社まであります。
秋に黄色い花を咲かせるソリダゴ

ススキと並んでもう1つ、さまざまな土壌条件や、グラス類のように生育旺盛なものの隣でも負けないほど丈夫な秋の植物があります。至る所で目に飛び込んでくる鮮やかな黄色のソリダゴです。
ドイツでは、ソリダゴはガーデンセンターやナーセリーなどで販売される人気の宿根草です。花屋でも切り花として人気で、秋のフラワーアレンジメントには欠かせない存在。しかしながら、ソリダゴの仲間であるセイタカアワダチソウ(ソリダゴ・カナデンシス)とオオアワダチソウ(ソリダゴ・ギガンテア)は、19世紀にヨーロッパに持ち込まれた侵略的外来種です。1950年代から中央ヨーロッパに広がり、ほぼあらゆる土壌や場所に適応して生育します。広大な地域を覆う繁殖力の強さから、ドイツを含む多くの国で忌避され、侵略的外来種に指定されています。もっとも、ほかの植物の開花が少ない時期に咲くソリダゴは、多くの昆虫やミツバチの食糧となるため、その存在を歓迎する人もいます。それに鮮やかな黄色の花は緑や茶色を主体とする秋の景色によくなじみ、明るい印象をもたらしてくれます。
ガーデニングで人気のソリダゴの種類

セイタカアワダチソウとオオアワダチソウという2種類のソリダゴは、ソリダゴ全体のイメージダウンに大いに貢献してしまいましたが、ソリダゴには侵略的ではなく、ガーデンでのよきパートナーとなれる品種もあります。ソリダゴ・ビルガウレアは、ドイツで環境に影響がないと評価されている種類の1つ。日本ではその中でも、アキノキリンソウがガーデンプランツとして人気です。

ドイツの有名な試験園では、‘ゴールデンシャワー’、‘クロス・オブ・ゴールド’、 ‘ゴールデンゲート’、‘イエローストーン’などといった素敵な名前の品種がいくつか試験されています。いずれも80~90cmと草丈が低く、ススキなどと合わせて鉢や庭に植えてもよく似合います。

面白い花として、「ソリダスター(x SOLIDASTER)」と呼ばれるソリダゴ(Solidago)×アスター(Aster)の交配種があります。SOLIDAGO x luteus ’Lemore‘(x Solidaster ‘Lemore‘)は、高さ60cmほどに収まるコンパクトな宿根草で、緑色の細葉に直径1cmほどのデイジーに似た花が集まる円錐花序をつけます。
