いつまでも輝く女性に ranune
「あんなに幸せだったのに…」世帯年収800万円・35歳で〈夢の一軒家〉を購入も、15年後「廃れたゴーストタウン」「家計は自転車操業」の哀しき現実【FPの助言】

「あんなに幸せだったのに…」世帯年収800万円・35歳で〈夢の一軒家〉を購入も、15年後「廃れたゴーストタウン」「家計は自転車操業」の哀しき現実【FPの助言】

50歳の現実 —ニュータウンがゴーストタウンへ、資産価値暴落の衝撃

真一さんが50歳を迎えた年には、地域に大きな変化が起きていました。購入時には若い家族で賑わっていた住宅地が、いつの間にか「ゴーストタウン」と化していたのです。

「子どもたちが独立して空き家になった家が目立つようになりました。新しく引っ越してくる家族もいない。近所の公園で遊ぶ子どもの声も聞こえなくなって……」真一さんの声は寂しそうです。

さらに追い討ちをかけるように、家族で何度も足を運んだ近隣の大型ショッピングモールが突然閉店を発表しました。ネット通販の普及と人口減少により来客数が激減し、わずか10年で撤退となってしまったのです。

モール跡地は今では格安スーパーとドラッグストアが入るだけの、寂しい商業施設に変わりました。「将来性のある立地」として購入した自宅周辺は、一気に過疎化が進んでしまったのです。

不動産会社に査定を依頼すると、「2,000万円程度が妥当でしょう」という衝撃的な回答。購入時の半分以下の価値しかありません。

「まさか、こんなに下がるなんて……」

真一さんは青ざめました。残債3,200万円に対し売却価格2,000万円では、1,200万円の借金が残ってしまいます。まさに「売るに売れない」状況に陥ったのです。

さらに追い討ちをかけるように、真一さんの勤務先でも厳しい現実が待っていました。「50歳以降の昇給は原則なし」という人事制度改革が発表されたのです。

ついに真一さんは、金融機関への返済相談を検討し始めました。

60歳で収入激減 —年金生活への恐怖のカウントダウン

現在51歳の真一さんが最も恐れているのは、9年後の60歳定年退職です。会社の継続雇用制度では、給与は6割程度に減額される予定。月収が33万円程度になるとすれば、もはや現在の生活水準を維持することは不可能です。

「年金があるじゃないか」と思われるかもしれませんが、真一さんの年金受給開始は65歳から。60歳から65歳までの5年間は、月33万円の給与だけで生活しなければなりません。

住宅ローン12万円、教育ローン3万円、クレジットカードの返済8万円を合わせると23万円。生活費はわずか10万円しか残らない計算です。

さらに恐ろしいのは、住宅ローンの完済予定が70歳であることです。年金生活に入ってからも月々12万円の返済が続くのです。

厚生年金と国民年金を合わせても月額18万円程度の見込み。真一さんが70歳になるまでの間加給年金がプラスされ年金月額21万円程度になったとしても、住宅ローン12万円を引くと、生活費は9万円しか残りません。

「夫婦二人で月9万円なんて、絶対に無理です……」

真一さんは絶望的な表情を浮かべます。毎晩、家族が寝静まった後に電卓を叩きながら何度もシミュレーションを繰り返していますが、どんなに計算しても「破綻」という文字しか浮かんできません。

「あの時、もう少し慎重になっていれば。35年ローンなんて組まなければ良かった……」後悔の念が頭の中を駆け巡りますが、時間を巻き戻すことはできません。

果たして、この絶望的な状況から抜け出す道はあるのでしょうか。

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