大規模農家はつぶれ、零細農家が生き残る
この間に大規模化は確かに進んだ。コメの値段が安くなったから大規模化が進む、との話がありますが、今や大規模な農家でもつぶれ始めています。私の地元・茨城県でも、専業でやっている大規模農家がつぶれた。2024年もその前年も、企業的にやっている水田農家の倒産件数が史上最大でした。最近は、値段が持ち直したのに倒産するんです。
逆に、零細農家は値段がいくら下がっても倒産しない。主たる収入はコメではない。役場の職員やサラリーマンなど、ほかでおカネを稼いでいる。値段が下がって倒産するのは大規模農家と専業農家です。コメを自由に作らせれば、大規模化が進んで専業農家が生き残るという、というようなことは、高校生レベルの机上の経済学の世界であって、現実はまったく違います。
これまで値段を維持するために需要と供給をカツカツにしてきたわけです。鈴木大臣の言う需要に応じた生産です。
農機具が飛ぶように売れた、その結果は
価格高騰の原因で一番大きかったのは、南海トラフ地震が起きるとのうわさが広がって買いだめが起きた、これが需要側の要因。供給側は、猛暑によってコメの生産量が落ちていた。需要と供給がカツカツだったところに、こうした要因が重なって将来の米不足や価格高騰の見込みが出回り、みんなが手持ちのコメの量を増やしたために需給がひっ迫して、上がっていったというのが実態だと思う。
政治的には、何かやらなきゃいけないから、小泉進次郎・前農水相の時に、備蓄米をまず出した。「政府が供給を増やすから足りなくならない」というイメージ作戦です。もうひとつは増産しましょうと言い出した。このまま増産すると、民間の在庫は増えていきます。現にもう民間在庫はかなり増えています。いずれ、その在庫が余って、来年(2026年)春ころになって、今年も天候が順調だと見えてくると、コメが暴落する可能性があります。
元々コメは、値段が下がりやすいもので、供給が多くなると暴落する可能性がある。困るのは専業農家です。今年(2025年)は農機具が飛ぶように売れた。コメの値段が上がって、ちょっとおカネが入ったから農機具を買おうとなる。農機具と言っても数千万から1億円しますから、みなローンを組む。で、コメが下がるとローンが払えないって人が出てくる。経営は単年度単位でやっていませんから、たちどころに資金がショートする。会社形態でやっている所ほど倒産する。倒産しても田んぼは残る。農業がたいへんなのは、倒産しただけじゃすまないことです。