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「超売り手市場」なのに転職できない営業職。「受からない人」の致命的ミスをプロが解説

「超売り手市場」なのに転職できない営業職。「受からない人」の致命的ミスをプロが解説

◆採用スタンスが「下から目線すぎる」会社は注意

——では、転職者側から見て「こんな会社は避けたほうがいい」という見極めのポイントはありますか?

梅田 あくまで傾向ですが、採用活動のスタンスに注目するといいと思います。極端に上から目線で見極めようとする会社と、逆に極端に下から目線でお願いしてくる会社。この両極端は、あまりよくない会社が多いと感じます。

今は求職者が強い売り手市場です。その状況で「雇ってやってもいい」という横柄な態度をとる会社は、感覚がずれていると言わざるを得ません。旧態依然とした体制や経営者のおごりが残っている可能性があります。

一方で、あまりにも下から目線の会社は、採用がうまくいっていない証拠です。現場のマネージャーがパワハラ気質で人が定着しない、事業がうまくいっていないなど、何かしらの問題を抱えている可能性が高い。採用活動は企業と求職者がフラットに選び合う場であるべきで、そのスタンスを持てない会社は危険信号だと考えています。面接や内定後の面談での態度で、かなり見えてくるはずです。

——逆に採用する側として、「この転職者は採用しないほうがいい」と感じるシグナルはありますか?

今井 履歴書に問題があるケースは当然ですが、それ以外で言うと、面接におけるコミュニケーションの「違和感」ですね。その違和感の数と深さで、危険度は変わってきます。営業職である以上、会話での受け答えがスムーズにできることは、問答無用で必須です。面接はうまいけれど入社後にパフォーマンスが出ない、ということはあっても、面接が下手なのにパフォーマンスが出た、ということはほぼないでしょう。

——やはりトークスキルは「基本のキ」なのですね。

今井 営業職に求められるスキルを構造的に考えると、土台にはOSとなる「思考スキル」、例えば論理的思考や仮説思考があります。その上に交渉力や傾聴力といった「対人対応スキル」があり、一番上に「テクニカルスキル」が乗っているイメージです。そもそものOSである思考力がなく、聞かれた質問を理解し、アウトプットする力がない人に、表面的なテクニカルスキルを植えつけても意味がありません。

セールスエバンジェリスト」として営業職の啓蒙を行う今井氏。著書「Sales is」は営業のバイブルとしてベストセラーに

◆「即戦力」という魔法の言葉の罠

今井 転職のミスマッチが起こる原因の一つは、このテクニカルスキルだけで人を評価してしまうことです。特に採用企業側は、人が足りないという切迫感から「即戦力」という魔法の言葉に頼りがちです。しかし、前職でルート営業をしていた人は、ヒアリング力はあっても、新規開拓で必要な交渉力や仮説思考は弱いかもしれません。OSの部分でミスマッチが起きているのに、テクニカルな部分だけを見て採用してしまう。ここは面接側が必須で見極めなければいけないポイントだと思いますね。

梅田 例えば「SFA・CRMの導入経験」があると年収が上がりやすいです。ただ、先ほどの「不幸な転職」に繋がる話ですが、そのテクニカルスキルに飛びついて採用したら、「SFA・CRMの構築はできるけど、態度が悪い」「言われたことしかやらない」といった問題が起きがちです。求職者が交渉材料として見栄えの良いスキルを持つことは生存戦略としてありですが、採用側はその“メッキ”に騙されてはいけません。

今井 テクニカルな部分だけでマッチするなら、正直、業務委託でもいいんです。正社員として仲間になってもらうのなら、もっと他にマッチすべき要素があるはず。

梅田 昔ほど根性論がはびこる世界ではありませんが、それでも営業はスポーツに近い、ある種“マッチョな部分”があります。スポーツの世界には「ウィナーテイクスオール」(勝者総取り)という言葉がありますが、営業も勝者と敗者がわかりやすい職業です。100億円売る営業と1億円しか売れない営業がいれば、前者のほうが評価されやすいのです。

この「結果にコミットする」という世界観に対するマインドセットが、まず大前提としてできあがっているかどうかが重要。私たちが転職支援で重視しているのも、この点です。「年収は上げたいけど、自信がないから成果に厳しくない会社がいい」というような人は、やはり受かりづらいですね。

今井晶也
株式会社セレブリックス取締役/執行役員/CMO/市場開発本部長/セレブリックス営業総合研究所所長。コーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業領域を管掌。また「セールスエバンジェリスト」の肩書で主に法人営業と新規営業におけるセールスモデルの研究・開発・講演を行う。Xアカウント/@M_imai_CEREBRIX

梅田翔五
営業一筋で10年以上キャリアを積み、医薬品営業、スポンサー獲得営業、人材紹介営業マネージャー、SaaS営業マネージャーなどを経た後に株式会社セレブリックスに入社。営業職に特化した人材紹介事業(SQiL Career Agent)を立ち上げ、事業責任者を務めた後、現在は複数の人材サービスを取り扱うキャリア&リクルーティング事業本部の部長代理 を務めている。10月に『営業の転職 成果と納得を手にするキャリア戦略』を上梓。Xアカウント/@job_and_life

<取材・文/秋山純一郎 撮影/荒熊流星>

配信元: 日刊SPA!

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